第13話 冒険者パーティー

「カイル様、奇襲に成功いたしました。皆帰還に成功、怪我人死傷者ゼロです」

「ジーバありがとう、オーディン共感力をさらに強めてくれ」

【了解だ、ふぉふぉふぉ、人間同士の争いを見るのは実に面白い、わしが雷を落とせば一瞬で終わるのになぜそうしない?】


「これは人間同士の戦いだからさ、オーディンはサポートで頼む」

【ふぉふぉふぉ】


「やはり、王国軍は冒険者パーティーを繰り出すようね、それもS級の」

 

 リラメイド長が告げる。


「じゃあ、次は俺の番だな」


 カイルはオリハルコンの城壁からジャンプすると地面に着地した。

 高さにして人が落ちたら死ぬレベルなのだが。

 それでもカイルは平然と立ち尽くし、森から現れる冒険者パーティー10名と向かい合っていた。

 どうやら3パーティー構成のようだ。

 いわゆるダンジョンボス狩りのレイドパーティー設定らしい。


「力貸すぜ、カイル」

 

 伝説王ロームが手を上げるが。


「君達は十分楽しんだろう、次は俺に楽しませてくれ」


「へ、いいぜ」


 俺は次元ボックスから伝説のクワを引き抜く。 

 このクワのおかげでレベルが1000を超えてくれた。

 一心不乱にクワを振り続けた。

 それだけでレベルが上がり、共有のスキルで皆の経験値を共有していた。

 それのおかげで、あっという間にレベルが1000になった訳だ。


「へへ、君がギャンブラーのカイルだね」


「そうだが」


「俺達はS級の冒険者でダンジョン攻略なんて3個を超えている。階層100回なんてざらじゃねーボスだってな何度だって討伐してる。まぁ魔王は倒せないがな」


「そうか」


「じゃあ、てめーら行くぞ、ここで捕まえて手柄をあげればお金が沢山もらえるからなー」


「手始めに俺からいこう」


 すました剣士という青年が身を乗り出した。

 頭上に表示されているのは【剣士:レベル80】であった。

 奴はにんまりと笑うと、剣を抜く。

 魔剣であった。

 魔力付与されているそれは禍々しく赤く光っていた。


「これはザディスドロンの剣でダンジョンボスの戦利品だ。これで悪い奴を何度もこらしめた。お前もなっと、速さについてこれるかな」


 剣士:レベル80の男の名前をザロン。

 ザロンは物凄いスピードで走ってくる。

 少し前のカイルだったら確かに物凄いと言っていたかもしれない。


 だが今のカイルは。

 高速でクワを振り落としていた。

 そのスピードはほぼ見えず。

 一瞬だ。

 地面が爆発するのと、ザロンの頭がぐちゃりと潰される音が同時。

 ザロンの首から上が無くなると体がバウンドして中を飛んで行く。

 次に疾風のように伝説のクワで横なぎに振るう。

 これを地球では野球でバットを振るというらしい。


 ザロンの体が真横に吹っ飛び、森の木々に衝突し、木々を次から次へとぶっ倒していく。

 ザロンの体が見えなくなった。


「は?」


 先程のリーダー格の男が唖然とする。


「ま、魔法だ。魔法使い遠距離からだああああ」


「は、はいいいいい」


 魔法使い3名が魔法とを萎える。

 詠唱という奴だ。

 だがカイルには詠唱が必要ない。


【賢者ジョブのエクストラスキルにて無詠唱が発動されます】


 魔法の炎の塊を生みだす。

 その大きさ巨大な岩より巨大。

 もはや城かと思えるくらいの大きさ。


 それが冒険者に向かって投擲される。


「に、にげろおおお」


「こ、こっちは詠唱中でええええええええ」

「ぎやああああああああ」

「あっがややあああ」


 3名の魔法使いが灰となって消滅する。

 残り6名のS級冒険者達は唖然としながら、脂汗を垂れ流しながら。

 こっちを見ている。

 ちなみに先程の巨大ファイアーボールは森を破壊しつくす。

 そのままバナレス軍がいる兵士達の方角に向かったようだ。


「ありえない、おめー何者だ」


「ただの領主だけど」


「クワもって魔法ぶっ放して伝説クラスの無詠唱使ってしかも巨大すぎるって魔力は尽きないのかよ」


「全然、レベル1000を超えると魔力もものすごくなるらしい」


「レベルってなんぞや」


「さぁ?」


「なら数で勝負だ」


 6名の冒険者はそれぞれの武器を掴む。

 全員がレベル80クラス。

 ちなみに斧、槍、ナイフ、剣、ハルバート、ブーメランとそれぞれ違った武器だ。

 全員がこちらに向かって走り出すのだが。


「破壊の盾でも使ってみるか」


 次元ボックスより破壊の盾を2枚取り出すと。

 伝説のクワをしまう。


「よーしかかってきなさい」


「おめーはバカかああああ」


 斧を持った冒険者が破壊の盾を破壊しようと攻撃を繰り出す。

 盾は確かに斧を防ぎ切った。

 衝撃はあまりない。

 

「うそだろ、ミノタウロスを破壊する斧だぞ」


 次の瞬間、1度耐えきった破壊の盾が爆発した。

 それもものすごい爆発で、斧使いの冒険者の体が吹き飛んだ。


「ってえええ、え神の声よこれ俺がレベル1000じゃなかったら俺死んでたぞ」


【その時は仕方がありません】


「まじかよー」


「こっちがまじかよーだよ」


 リーダー格の冒険者が叫ぶと。

 名前をジブロンという名前。

 次から次へと攻撃を繰り出される。


「よしてめーら素手で相手してやる」


 破壊の盾を次元ボックスに収納する。


「かかってきなさい」


「ふざけるなあああ」


「よしレベル1000のパンチをっと」


 槍が突き刺されるのだが。

 それを岩のような拳で破壊してしまう。

 そのまま拳は槍を破壊し続けて、槍使いの冒険者の腹を貫通し、内臓を吹き飛ばす。

 血反吐を吐きながら冒険者は動かなくなる。


「うそでしょおおおおお」


 ジブロンが叫ぶと。残り4名のナイフ、ハルバート、剣、ブーメランの男に目標を定めて。


 石ころを掴む。


「よし、お前、ブーメランに当ててやる」


 石ころぶん投げた。

 次の瞬間、ブーメランの冒険者のブーメラン事右手を粉砕、右手が粉々に吹き飛んだ。


「あぎゃああああ」


「って石ころよおおおおお」


 ジブロンが叫ぶ。


「ほほう、石ころであの力か、そうだ。この枝飛ばしてみよう」


 ぐさりと。


 ブーメランの頭を枝が貫通した。


「死んだかー」


 ばたんとブーメランの男が倒れた。


「ひいいいいい」


「滅茶苦茶だ」


「はぁはぁはぁはぁ」


 残った3名のS級冒険者の後ろから奇襲を生き残った兵士数万が到着した。

 まずバナレス卿が大きな目を開けてこちらを見ると。

 ぎょろりと笑った。


「は?」


 S級冒険者の死体を見て唖然としていたようだ。

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