エピローグ
真冬の厳しい寒さが続くライゼン通り。パン屋さんは朝から香ばしい匂いで包まれていた。
「おはよう。ミラ、お手伝いに来てあげたわよ」
「わたし達も手伝うわ」
「ミラ……ローズ様の気まぐれで大変申し訳ないが、そう言うことだ」
雑貨屋のお店が賑わう時間以外お手伝いに来てくれているベティーが言うと、ご機嫌な様子のローズと付き合わされているレイヴィンが入って来る。
「ミラ、今日はクリームパン一つ頂戴。お店相変わらず大賑わいだね。何か困ったことがあったらいつでも相談に乗るよ」
「オレは五種類のサンドウィッチ詰め合わせ。それから卵パンも。あ、それより何か経営のやり方で困った事とかない? オレが色々と教えるからさ」
元気よく入って来たアミーとシュトルクが笑顔で語りかけて来た。
「こんにちは~。くしゅん。冬は寒くてモコモコの綿毛になりたい気分です~。あ、ミラさん今日はオレンジジャムを一つ買いに来ました」
「失礼する。ミラ、この前のパンプキンパンとても美味だったよ。今日はジャガイモを使ったパンがあると聞いて来たんだが、あるかな」
レイヤが来店してくると小さなくしゃみを一つついて恥ずかしそうに微笑み話す。
そこにクラウスが入ってくるなりそう尋ねて来た。
「あのぅ、あのね。チョココロネまた買いに来たよぅ」
「ミラさん。店長就任後大変ではありませんか。私も何かお手伝いできればと思っております。いつでもご相談ください」
急に雨が降ってきたかと思うと、気が付いたらそこにウィルフィーユが立っており、もじもじしながら頼む。
いつの間にかやって来ていたグラウィスも心配そうな顔で尋ねる。
「ふぅ。店長就任後も変わらず大忙しね。皆さん、順番に、お願いします!」
今日も朝からミラの元気な声がライゼン通りに響き渡る。こうして店長就任一年目は目まぐるしい日々の中過ぎて行ったのであった。
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