プロローグ
優しい光が差し込むライゼン通り。その一角に佇むパン屋さんからは早朝にもかかわらず香ばしいパンの香りが漂う。
「ミラ、このパンを運んでくれ」
「ミラ、こっちの机も拭いて頂戴」
「はい、はい。分かっているわよ!」
忙しなくパンを次々と焼き上げる父親……マックスと陳列棚を掃除する母親……ミランダの言葉に毎回同じことの繰り返しにうんざりしながらミラは返事をする。
「あと少しで開店だ。さあ、急いで」
「ミラ、ここの棚の商品がまだよ。急ぎなさい」
「はーい。分かってますってば」
両親の言葉に彼女は適当に返事をすると手慣れた様子で品物を並べる。
「「「ふ~」」」
朝の準備を終えると三人そろって溜息を吐き出す。
「さて、お客様を迎え入れるとするか」
「えぇ。そうね。今日も気合入れて頑張るわよ」
「はぁ、今日も適当に頑張るとしますか」
元気なマックスに意気込むミランダ。その二人とは違い気合の入らないミラは営業スマイルを作りレジの前に立つ。
「「「いらっしゃいませ。満腹パン屋へようこそ!」」」
開店とともになだれ込む客へと三人は笑顔で出迎える。こうしてパン屋の一日は始まりを迎えるのであった。
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