【完結】すごオチ〜日曜日に始まり、土曜日に完結する。全7話の短編シリーズです。よろしくお願いします。

第31話 過去の影

エミリーはリチャードの遺した資料を整理しながら、彼の最後の足取りを追い始めた。リチャードが追っていた事件は、インフィニティ・コーポレーションに関する重大な不正行為だった。それを明らかにするため、彼は自分の命を危険にさらしてまで証拠を集めていたのだ。

「リチャード、あなたの努力を無駄にしないわ」エミリーは決意を込めて呟いた。

その日、エミリーはリチャードの旧友であり、情報屋のトム・ジョンソンに会うことにした。彼ならリチャードが何を見つけたのか、何を追っていたのかについて詳しいはずだ。

エミリーはトムがよく利用しているカフェに足を運んだ。カフェの一角にトムの姿を見つけると、彼女は静かに席に着いた。

「エミリー、久しぶりだね。今日は何の用だい？」トムはコーヒーを飲みながら微笑んだ。

「トム、リチャードの死についてもっと知りたいの。彼が最後に何を見つけたのか、その証拠はどこにあるのかを教えて欲しいの」とエミリーは真剣な表情で答えた。

トムは一瞬表情を曇らせたが、やがて頷いた。「リチャードが追っていたのはインフィニティ・コーポレーションの不正行為だった。彼は企業の環境データの改ざんに関する証拠を掴んでいたんだ。彼がその証拠を手に入れたとき、命を狙われるようになった」

「その証拠は今どこにあるの？」エミリーは焦る気持ちを抑えながら尋ねた。

「リチャードは証拠を安全な場所に隠したんだが、その場所は俺も知らない。ただ、彼が最後に会った人物が重要な手がかりを持っているかもしれない」とトムは答えた。

「最後に会った人物って…誰？」エミリーはさらに問い詰めた。

「サラ・ウィリアムズ。リチャードの元恋人だ。彼女に会えば、リチャードが隠した証拠の場所が分かるかもしれない」とトムは答えた。

「ありがとう、トム。彼女に会ってみるわ」とエミリーは感謝の意を示し、カフェを後にした。

リチャードはエミリーの後を追いながら、自分の記憶をさらに掘り起こそうとしていた。サラ・ウィリアムズとの過去の出来事が頭の中に浮かんできた。

エミリーはサラが住んでいるアパートに向かい、インターホンを押した。しばらくすると、ドアが開き、中からサラが現れた。

「エミリー…？どうしてここに…？」サラは驚いた表情を浮かべた。

「サラ、リチャードの死について話したいの。彼が最後に見つけた証拠について教えて欲しいの」とエミリーは切実な声で訴えた。

サラは一瞬戸惑ったが、やがて深いため息をついた。「入って、エミリー。話しましょう」

エミリーとリチャードはサラのアパートに入り、リビングルームのソファに腰を下ろした。サラは重い口を開いた。

「リチャードはインフィニティ・コーポレーションの不正を暴くために必死だった。彼はその証拠を手に入れたんだけど、命を狙われるようになったの。彼はその証拠を私に託して、私に隠すよう頼んだの」

「その証拠はどこに隠したの？」エミリーは緊張した声で尋ねた。

「彼はその証拠を安全な場所に隠したわ。大学図書館の中、彼がよく利用していた古い本の中に」とサラは答えた。

「大学図書館…分かったわ。すぐに探しに行くわ」とエミリーは決意を新たにした。

その瞬間、リチャードの記憶が鮮明に蘇った。彼はサラに証拠を託し、自分が命を狙われることを覚悟していた。その証拠が今、全ての真実を明らかにする鍵となるのだ。

エミリーは大学図書館に向かい、リチャードが隠した証拠を探し出すために奔走した。リチャードはエミリーの後を追い、彼女の努力を見守りながら、自分の死因を解明するための最後の手がかりを探し続けた。

「エミリー、君ならできる。必ず真実を見つけ出してくれ…」リチャードは心の中で強く願った。

エミリーは大学図書館の静寂な空間に足を踏み入れ、リチャードがよく利用していた古い本の棚に向かった。彼女は一冊一冊の本を注意深く調べ、ついにリチャードが隠した証拠を見つけ出した。

「これが…リチャードの遺した証拠…」エミリーは手にしたUSBドライブを見つめ、感慨深げに呟いた。

その瞬間、図書館の入り口が静かに開き、背後から何者かが忍び寄ってくる音が聞こえた。エミリーは振り返り、その人物を見つめた。

「お前たちの努力は無駄だ。全ては私の手の中にある」と冷酷な声が響いた。

リチャードはその声に覚えがあった。ジェームズ・ベネット、インフィニティ・コーポレーションの幹部だった。

「ベネット…」リチャードは呟いた。

エミリーは一歩後退しながら、「あなたがリチャードを…」と震える声で言った。

「そうだ。彼は私たちの計画を邪魔しようとした。だが、もう遅い。全ては終わりだ」とベネットは冷たく笑った。

エミリーはUSBドライブを握りしめ、「私は真実を暴く。あなたたちの不正を世界に公表するわ」と決意を込めて言った。

「やってみるがいい。だが、ここでお前は終わりだ」とベネットはエミリーに向かって手を伸ばした。

その瞬間、リチャードは幽霊としての力を使い、エミリーを守るために立ち上がった。「エミリー、逃げて！」と心の中で叫びながら、ベネットの動きを阻止しようとした。

エミリーはリチャードの助けを感じ取り、素早く図書館から逃げ出した。彼女はUSBドライブを握りしめ、真実を暴くための戦いに挑む決意を新たにした。

リチャードはエミリーの無事を祈りながら、自分の死因を解明し、全ての真実を明らかにするための旅を続けた。彼の目の前には、まだ多くの謎が広がっていたが、決して諦めることはなかった。