物語のつくりかた④ 〜誰のために

 物語を誰のために書いているのだろうと、考えることがあります。


 自分のため、誰かに読んでもらうため、特定の誰かにあてて書くこともあるでしょう。


 自分ひとりで自分しか読む相手がいない、自分の楽しみのためだけに書いている、という場合を除いて、物語の向こう側には、読んでくれる相手がいます。

 公開した時点で、物語を相手に手渡して、ゆだねているのです。どのような感想も評価も、その読者様のものです。


 自分の作品を誰かに読んでもらう、と決めてから、心がけていることがあります。


 ・物語を完結させること

 ・登場人物を大事にすること、粗末に扱わないこと


 私の作品は完結したもの、あるいは完結がみえている時点で、カクヨムに公開するようにしているので(エッセイを除く)、今のところ、未完となっているものはありません。


 物語が中断する理由にはそれぞれありますし、殊更にそれをとがめだてしたいわけではありません。

「クゥ〜。この続きはどうなる? 読みたいっ!」

 そう思いながら、ひたすらずっと待っている作品は、カクヨムに限らず、商業ベースの書籍でもたくさんあります。


 以前、某作家様の某シリーズの新作が、10数年ぶりに発売されると知った際には、確実に購入しようと、即、予約して待ちました。

 ずっと信じて待っていて、本当に良かったと、そのとき思いました。読んだ後も嬉しくて、報われた気がしました。


 未完のまま、もう読むことの出来ない物語があります。打ち切りになったり、作者様が亡くなられたり、執筆をやめられたり、絶版になったり……。残念でたまりません。


 自分が読者側であれば、続きを信じて、ひたすらに待つ時間は苦ではありません。

 作品を送り出す側としては、ただじっと待って下さる読者様(自分の物語にそこまで期待して頂けるかはさておき)の存在を忘れないでいたいと思っています。


 では、物語を終わらせればそれで良いのか、と思った出来事がありました。


 某作家様の某戦記シリーズが完結していることを知って、いそいそと続きを読んでいた時のことです。

 最終巻が、もう何と言ったらよいのか……絶句。

(うわ、これはヒドイ……。こんなのアリか?)


 注)意見には個人差があります。


 この結末をそれでも、「素晴らしい、感動しました!」 と言える読者様がいるのかどうか。(中にはいるのかもしれませんが。いや、いないと思うケド)


 いち読者としては、少なからず登場人物の誰かに愛着を持って、感情移入して読んでいます。その人物が、作者様からあり得ないぞんざいな扱いをされるのは、悲しいし、残念です。


 物語の進行上、必要だというのではなくて、この場合は作者様が「もうこの話の世界観は飽きたし、続きは書きたくない、とにかく物語を終わらせてしまえばいいや」と、放棄して書いたことがありありと感じられる、薄っぺらなものとしか思えなかったのです。


 これでよく編集担当の方が許した内容だと思いましたし、正直、この好きだった物語の世界が壊されてしまい、読まなければ良かったとさえ思いました。


 私は、自分の物語の登場人物達には、それぞれ愛着を持っています。

(好き、の程度の差はあるけれど)

 自分の中のどこかの部分の分身である彼らを、作り出した私だからこそ、大事にしたいと思っています。

 誰かに読んでもらえるとき、誰かが登場人物を気に入って下さるとき、本当に嬉しいです。

(物語の内容の好き、嫌いは読者様の自由です)


 大前提として、自分が楽しめること、が大切だと考えます。

 誰かをガッカリさせたり、不快にさせることがないように努めたいです。

 それが、誰かに物語を読んでもらうとき、作者としての責任であり、読者様を大切にして敬意をはらうことだと思っています。







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