第8話 入学式③
中世の城壁の様な壮大な校門の前には、わたしと同じ新入生らしき生徒達で溢れ返っている。
校門の上からは、"入学おめでとう"と書かれた横断幕が吊るされていた。
………………。
だめだ……モノローグをやり直そうと思ったけど、さっきの光景がショック過ぎて立ち直れそうにない。
どうやら、時の流れは逆流しないらしい。
やれやれだぜ……。
いかんいかん!変なものを見せられたせいでネガティブハートになってしまいました!なんてったって今日は記念すべき高校デビューの日!わたしの物語はまだ始まってすらいないからね!まだ舞えますから!よろしくお願いじまぁーす!キャッキャ!(エルフ並感)
因みにこの世界には、
その他の種族もいるのだが、主に上記の種族の傘下に入っている事が多い。
遥か昔には、己が種族こそ至高!と血で血を洗う戦乱の時代があったらしいのだが、ダンジョンという未曾有の脅威が現れた際に各種族の長達が手を取り合い、現代まで続く友好条約を結んだ。
その後、種族の長たちはお互いの住まう大陸を5つに分配して国を立ち上げ、大陸の中心部に同盟の各種族の技術を集結した大きな都市を築き、地図上で5大国の首都を線で引いた際に五芒星の形に見える事、その中心部に存在する事から、総合都市の名は
ここ、アルカディア総合学院も
はい!今日の歴史の勉強はここまでです!みんな〜付いてこれたかにゃあ?
さてと!わたしも早くクラス表を見に行かねば!
校門を跨いだわたしは、行き交う生徒の波を高速かつ無音ですり抜けていく、癖になってんだ…音消して歩くの。
暫く歩いていると、クラス表を掲示した壁回りに人が密集している。
これじゃあクラス表が見えないんじゃあないの?って心配しているそこのあなた!ご安心下さい!
んでもって、わたしのクラスは何組ですかね〜っと!ふむふむ…1ーAですか、下駄箱にて上履きに履き替えたわたしは教室へと向かう。
「待って………」
え〜っと…1ーAはあっちか!クラスメイトの人は優しい人だと良いなぁ……っととととと!何?何すか?何なんですか?いきなり制服の袖を引っ張られたので足を止める。
「……待って!」
手の引く方に振り向くと、そこには赤髪の美少女が立っていた。
少し高めの位置から結ばれた緋色のツインテールがとても似合っている。顔立ちは可愛いというよりは綺麗なタイプの顔つきだ、まだ歳相応の幼さが残っているが、同年代では出せない色気を醸し出しており、美少女と呼称するのに恥じる事のない顔面偏差値だ。
吸い込まれそうに綺麗なルビー色の瞳から何か決意をしたかのような闘志の炎が揺らめいている。
てゆーか、人に話しかけれる事なんてほぼほぼないからナチュナルに自分を選択肢から外してしまっていた……取り敢えず声をかけられた心当たりが全くもってないが誠心誠意、応対をせねば……。
わたしは彼女から少し離れて地面に膝をつけるとカバンから財布を取り出して彼女の足元に置いて
ーーーー
五体、すなわち両手・両膝・額を地面に投げ伏して、仏や高僧などを礼拝することである。仏教において最も丁寧な礼拝方法の一つとされ、対象への絶対的な帰依を表す。 挙体投地、五輪投地ともいう(W○kipedia先生調べ)。
ーー何かあったら謝罪をする。
前世から刻み込まれた負け犬根性の賜物である。
メリットはコスパの良さ、デメリットは滲み出る浅さによって怒っていない人にやると本当に怒らせてしまう事だ。
「こ、こんな人がいる往来で何をしているの!?」
動揺する美少女。
ふむ……これは違ったか……だが、怒ってはいない様なのでまだ巻き返せる!わたしはすぐさま次の手に取り掛かる。人間に大事なのものは柔軟性と次への切り替えなのだ。
頭を上げたわたしは、彼女の足を取り足先に口付けを交わそうとすると彼女は慌てて足をわたしの口先から離した。
「い、いきなり何をするの!?だ、だから人が見ているでしょう!!」
顔を真っ赤にしながら声を張り上げる美少女。
あれれぇ……またわたし、何かしちゃった?つま先への口付けは崇拝を意味する。
あなたに敵意はありませんよ〜というわたしなりの最大限の意思表示だったのだけれど……。
ーー余談であるが、この時のわたしは、急激な美少女の急接近にテンパりまくり、脳のキャパシティーを超過してバグっていた。
就寝前にこの光景を思い出して寝室で悶える事になるのは近い未来の話である。
「わたし…は…あなたには負けないから!!」
最後にそういう言うと、わたしの前から去っていく涙目の美少女。
一体何がしたかったんだろう?やはり、人とのコミュニケーションは難しいですね……。
謎のイベントと遭遇して疲弊したわたしは、重い足取りで教室へと向かうのであった。
教室の前に着いたが中々入る決心がつかない。
何故かというと既に満席に近いからである。
既に軽いコミュニケーションを取り終えたのか、グループを形成して談笑をしている姿もチラホラ伺える。
完全に出遅れた‼︎……昨晩考えた少し早めに教室に着いて声を掛けるのを待つ、通称-コミュ強⭐︎芋スナ蟻地獄大作戦が実行出来ないではないか!?まだあわわわわわわ…と、とにかく行動に移さねば…ハンバーグ‼︎……師匠ではなく、好物を頭に浮かべて己を鼓舞して教室に入る。
抜け足…さしあし忍び足…気配を消して後方のトビラから教室に入る。
前方の方に先程の緋色の髪がいた。
あの子はわたしと同じクラスだったのね………。
思いがけないサプライズにビックリしながら指定された自分の席に着く。
ふぅ……やっと一息つける。
一息ついているとわたしの一つ前の席に茶髪の美少女が着席した。
本日2人目の美女との邂逅である。
シュシュで結われたサイドテールを尻尾の様にフリフリ揺らしながら鼻歌を歌っている。
茶髪の髪に先端の方は薄らとピンク色のメッシュが入っており、少し着崩した装いからギャルギャルしい波動を感じる。そしてめっっっちゃいい匂いがする!(ここめっちゃ大事!)、何となく眺めているとギャルが振り向いて話しかけてきた。
「ふ〜間に合った〜!初っ端から遅刻はマズいよね〜」
黒に近いブラウン色の瞳でコチラを見つめるギャル。
「あっあっ……スゥ」
首を縦に振って返事をする。
「えぇ〜もしかしてもしかしてだけど照れてる〜?めっちゃかわちぃじゃ〜ん、ウリウリ〜!名前は何ていうの?あっ…こういう時は自分から言うのがマナーってやつだよね!あっ…ウチの名前は
「あっ…わ、わたくし
「じゃあピカリンだね!ウチの事は好きに呼んでね〜」
わたしは首を縦に振って返事をする。
ヘ、へへへ……ギャルに指でウリウリされた上にあだ名付けられちった!これはわたしもクラス内カースト上位陣の仲間入りでは!?
「でさぁ!ピカリン聞いてよ〜、今日入学式だから決めなきゃ〜!って思ってはりきってね、たっか〜いパックとかつけて前日から準備してたの!そしたら、めっちゃ気持ち良くて朝までぐっすりでさ〜起きたら結構ヤバめな時間で慌てて支度してきた!これじゃあプラマイゼロだよね〜」
首を縦に振って返事をする。
「もうマジ無理って感じ〜!無理って言えばね!今日は入学式だから早めに解散するじゃん?折角だから普段は行けない時間帯のお店に予約しちゃった!ウチ、最近この辺りに越して来たばかりだから良い店あったら一緒に行こうね〜」
首を縦に振って返事をする。
か、会話のテンポが早過ぎる‼︎……陽キャ特有のラリーの打ち方である。
陽キャは行動力や自己研鑽によって引き出しが多い為、こっちが必殺トークとしてストックしている様な話も小出しでどんどん切り出してくる。
また、虫とかが好きではないのにいきなり「君はカブトムシだと何が好き?僕はヘラクレスオオカブト!」みたいな自分本位なコミュニケーション、カブトムシコミュニケーションの絡め手を決めてくる事があり、我々陰キャは勿論そんなQTEをクリアする事が出来ずに
フォアグラを作る過程の様に次々と与えられるギャルトーク。
あまりの情報量に脳が無領空処されかけていると校内に予鈴の音が鳴り響いた。
「もう時間だね〜、また後でゆっくり話そうね!」
手をひらひらさせながら前を向く中野さん。
首を縦に振って返事をする。
ふぅ…命拾いした……。
取り敢えずは…なんとかやっていけそうかな?
わたしは、担任の先生が来るまで窓の外を眺めているのであった。
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新たに2人のキャラが追加され
やっと教室まで進みました!
序盤はどうしても世界観の説明や
キャラ紹介に長尺を使ってしまいます……。
一気に話を続けようと思うと1万字を超えてしまいそうなので区切っているのですが、文章をまとめる能力くのない私には、配分が中々難しくて苦労しております……。
皆様は、1話何文字くらいが読みやすいですか?
コメント等で教えて頂けると嬉しいです!
そんな頭を抱えている次話は
6/28(金) 19:00頃、投稿予定です!
季節の変わり目で持病の喘息が悪化した為
余裕を持って、この日しました。
次回で入学式は終了予定です。
【祝】 現代ファンタジーカテゴリー
週間ランキング152位!!
ご拝読ありがとうございます✨️
初投稿をしてからもう1週間が経過しました。
長いようで早い……怒涛の1週間でした。
これからも驕らずに
感謝とリスペクトの気持ちを忘れず
誠心誠意頑張りますので
何卒 ♡と☆、両者のコメントお待ちしております!
〈6/26追記〉
申し訳ございません。
持病の喘息が更に悪化しまして最新話投稿が不定期になりますm(_ _)m 復活の目処が経ちましたら、また更新させて頂きます……。
〈7/1追記〉
皆様お久しぶりです。
何とか5割位まで復活したので
7/4(木)19:00頃に最新話投稿予定です。
よろしくお願いしますm(_ _)m
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