第3話 未知の生物との遭遇

惑星での探索が続く中、エリックとクルーはさらに奥深くへと足を進めていた。奇妙な音が洞窟内に響き渡り、緊張感が一層高まっていた。


「全員、警戒を怠るな」エリックは低い声で命じた。ナディアは無言で頷き、ライフルをしっかりと握り直した。


「ここから先、何が出てくるか分からない。慎重に進もう」オスカーがデータパッドを見ながら言った。


洞窟内の空気は重く、湿気が肌にまとわりつく。ライトの光が揺れるたびに、影が不気味に動いた。リアはスキャナーを使って周囲を確認し続けたが、デバイスは異常を示し続けていた。


「エリック、ここから先は非常に危険だ。エネルギー反応が異常に強い」リアが警告した。


「分かった。でも、この先には重要な手がかりがあるかもしれない」エリックは決意を込めて言った。


突然、洞窟の奥から低い唸り声が響いた。全員が緊張して身を固めた。その音は徐々に近づいてくる。


「全員、準備を」ナディアが指示を出した。


暗闇から現れたのは、巨大な生物だった。鋭い牙と爪を持ち、恐ろしいほどの威圧感を放っている。リアのスキャナーが激しく警告音を発していた。


「この生物は非常に危険だ、全力で対処しないと!」リアが叫んだ。


ナディアは冷静に銃を構え、狙いを定めた。「一斉射撃、今!」


銃声が洞窟内に響き渡り、閃光が生物を照らし出した。生物は痛みに吠え声を上げながらも、執拗にクルーに迫ってきた。その動きは驚くほど迅速だった。


「退避!一旦退避だ!」エリックが指示を出した。


全員が一斉に洞窟の出口に向かって走り出した。生物は後を追ってきたが、ナディアが巧みに射撃を行い、その進行を妨げた。


「行け、私が引きつける!」ナディアが叫び、勇敢に立ち向かった。


「ナディア、無茶するな!」エリックが叫んだが、ナディアは振り返らずに生物に向かって撃ち続けた。


クルーが洞窟の外に飛び出すと、エリックは振り返り、ナディアが無事に退避できるか確認しようとした。しかし、次の瞬間、生物が激しい咆哮を上げ、洞窟の入り口が崩れ始めた。


「ナディア!」エリックが叫んだ。


煙と砂埃が立ち込め、視界が遮られた。洞窟の入り口は完全に崩壊し、ナディアの姿は見えなくなった。


「ナディアが…」リアが呟き、呆然と立ち尽くした。


「今はここから離れることが先決だ」オスカーが冷静に言った。「洞窟が完全に崩れる前に、距離を取らないと」


エリックはナディアの勇敢な行動に心を痛めながらも、全員を率いてその場を離れた。彼の心には、ナディアを救うための決意が新たに宿った。


---


基地に戻ったクルーは、ナディアの救出計画を練り始めた。彼女の勇敢な行動が皆の心に深く刻まれていた。


「ナディアはきっと生きている。彼女を助ける方法を考えないと」エリックが強く言った。


「でも、どうやって?」リアが不安げに尋ねた。


「洞窟の構造を調べ、別の入り口を見つけるしかない。オスカー、データを解析してくれ」エリックはオスカーに頼んだ。


「分かった、すぐに取りかかる」オスカーはデータパッドを操作し始めた。


エリックの心には不安が渦巻いていたが、それ以上にナディアを救いたいという強い思いが彼を突き動かしていた。彼らの冒険は、ますます困難な道を歩み始めたのだった。

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