鴨川
@otaku
鴨川を南下する
千年前と同じ川かは分からぬが、今日もデルタに人は集う
飛び石を色んな靴が渡ってく ブーツ、革靴、便所サンダル
三条の等間隔の勢力は路上ライブに背を向けている
景観に配慮している私たち 浴衣の観光客を引き立て
木屋町で吐いた帰りに立ち寄った三条大橋西詰の桜
カップルと川床を横目に進む 床の季節は意外と長い
盆地風死す タペストリーの末裔もバックパックに衣裳詰めたり
七条のあたりで枯れる高瀬川 罪人は島まで辿り着かない
墓石みたく静まり返ったキャンパスに虫の焼かれる音が響く
最強の等間隔の勢力も辿り着かない八条以南
黄昏の澱みを分けて天鼠飛ぶ 青空文庫で読んだ情景
嫌に綺麗なコンクリート舗装のこの河原には街灯がない
街道と疏水を隔て稼働する化学工場の明かりは遠く
河原町と名前のついた河原から二分のとこにある交差点
跨線橋の袂のちょっとした滝に集う缶、ペットボトル、釣り人
この浅い川で魚が釣れるのか 透明な川の透明な魚
大雨が川上から押し流すもの 流木、オオサンショウウオ、天狗
街灯なき夜道で天狗とすれ違う 鞍馬山までは夜通しかかる
十条通は明治の頃にできたらしい 交うランナーが下人に見える
コンビニで買ったアイスを食べるには歴史が詰まり過ぎてる川辺
鴨川 @otaku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます