箱庭の魔術師

いぎたないみらい

『箱庭の魔術師』

"深淵の森"


ランクA-以上のモンスターのみが出現する魔の森の名称。

ヒト族はこの森に入って30分以内に、亜人は2時間以内に、魔族は6時間以内に、死んでしまう。

この森の中心からは、魔力が多く放出されている。魔力耐性の無い者は10分以内に死に至る。

魔力耐性があったとしても、ランクA-以上のモンスターに狩られる。



この森では、狩る者が狩られる。



そんな場所で一人。狩られることも無く、狩ることも無く、暮らす者がいた。


森の中心。魔力が最も濃いとされる場所。

ここに小さな一軒家がある。家の裏には畑があり、そこでいくつかの作物が育てられている。家の中では一人、魔具を生成している人物が。


ボサボサな、金髪混じりの黒茶色の頭。短い睫毛に縁取られた、錆びた銅のような色の瞳。元々は白かったのだろう汚れたエプロンを身に付けている。体は小さく、まだ少年のように見える。一般よりは整った、幼い顔。それでも成人しているため、実際は19歳の男性だ。

見た目と実年齢が一致しないことが悩みである彼が、この深淵の森で暮らす変人である。


結界魔法を限界まで極めることで、供給される魔力の量を調節し、モンスターから身を守ることを可能にした。

世間では『箱庭の魔術師』と呼ばれ、伝説扱いをされている。


魔法を極めてまで彼がここに暮らす理由は、至極単純である。




「誰とも会わずに、一人で黙々と自由に暮らしたいから」




要は人見知りの引きこもり野郎である。


一体彼はこの森で、どのような生活を送っているのか。皆々様にお伝えしていこう。




「ーーーーってなカンジで記事を書こうと思うんだケド、どう思う?」

「ぜっっっっったいにやめて!!!!!!」


キィィィィーーーーーーーン


「ぅうるさいなぁ。耳痛いじゃん」

「とにもかくにも絶対やめてね!!やったら許さないから!!魔具も作ってあげないんだから!!」

「あ"。それは困る。冗談だよじょ~だん~~。HAHAHA☆」

「怪しい……」


『箱庭の魔術師』アーク。変人だが、結界魔法を極められるだけの才能を持つ。

流石の彼でも「自給自足だけでは暮らせない」とのこと。時折、売れない小説家の家へ向かい、買ってもらった日用品を受け取りに来ている。


まあその " 売れない小説家 " ってのが俺なんだけど。


「いつもありがと。ネビュラ」

「いーっていーってw。お前の魔具売って買ってっから」

「君はいつも金欠だから…」

「いや、俺そこまでじゃあねーよ?」

「でもぼくの稼いだお金の残りは…?」

「貯金してやってんだよ。なんかあったとき使えるだろ」

「おかあさ「やめろハズイ」

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箱庭の魔術師 いぎたないみらい @praraika

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