12. ニザの国大好き
二つ目の湖は先ほどより濃い藍色をしていた。
「湖は時間帯や天気、温湿度によって色の見え方が違うんだ。一つ目の湖もさっき見た色で見える訳ではないよ」
水面にとても長細い体の魚の影が見え、こちらに向かってゆらゆらと泳いできた。
「あの形はカリューノの一種だな。これも滅多にみられる魚じゃないよ。普段は湖の底に潜っていることが多いとされている。ニザの湖にいるなんて知らなかったよ。湖底の泥を食べるからカリューノ一匹いれば湖は汚れ知らずだと言われている」
「だから、水が綺麗なんだね」と皆が納得していると、突然水面の
全身の鱗が一つ一つ違った色に輝いて、水面にも揺らいだカリューノが映っていた。
六人は魚の影が消えた後も湖をみていた。水面の波紋の美しさに
「オレ、引っ越しの一年祝い、この魚見られたことでいいや。カリューノ、小さいころからずっと見てみたいと思っていたんだ。ロールがこの湖案内してくれて、皆が一緒だったからこの魚が張り切ってジャンプまでしてくれたんだ。この仲間でなかったら見られなかったと思う」
「ララとナックがニザの国に来てくれて良かった」
「シェーダとメレオ、そしてカリューノ見られた幸運の日だね」
みんなとてもいい笑顔だ。
さあ、みんなでお主様に報告に行こう。
「お主様のところ着いたら、起こしてあげるよ」
お腹も心も満たされて、ノハはうつらうつらしながらロールの背中で揺れを楽しんでいた。六人の後ろから、ニザリスのイーとスーが木の枝から枝へと追いかけてくる。
「森の生き物たちとっても楽しみにしていたの。ノハたち楽しんでくれたかな」
「ノハたちがシャーダを見ることが出来たと知ったら、きっと、ルーとジョー大喜びだね」
ノハはどこからか声が聞こえて来た。誰の声?
「ノハ、着いたよ」
ロールの声が聞こえ、どかりと地面におろされた。お主様の所に到着。夢と現実の境目がはっきりしないまま、見上げるとお主様の枝に二匹のニザリスがちょこんと座っていた。心なしか、ノハを見て笑っている気がする。
「ララとナックがニザの国に来て一年経った報告をしよう」
ロールがみんなに話しかけると、すかさずノハはお主様の幹に張り付いた。
「こうやってお主様に思いを伝えるんだよ。父さんとお主様に報告に来たときはいつもこうするの」
ノハはジョンから教えられたことをみんなでやって見せる。お主様を囲んで、みんなが張り付いた。六人はそれぞれ、お礼をしたり、報告したり、お願いごとを聞いてもらったり思いを伝えていった。
「ニザの国大好き!」
六人の思いが重なり合うのを感じる。幻級の鳥や魚がいるこのニザの国を大切にしたい、そう感じる森探検だった。
第二章 森探索編 終わり
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