解決屋道中四方山話
須堂さくら
1、どんぶらこ
むかしむかしあるところに。という言葉で始まる物語のひとつに、何だかこんな状況があった気がするなぁ。なんてことを考えながら、ぼくはどんぶらこと川を下っていた。とある果物限定の表現だった気もするけれど、そんなことはどうでも良かった。
川に落ちてどれくらい経つだろう。ぼくってこの状態だと水に浮くんだなぁ。落ちたのが川でまだ良かったんだろうか。あぁそれにしても。
「生きてるわよ!早く!」
水に浮かんだぼくの耳に、女の子の大きな声が聞こえて、ぼくは目を開いた。だけど太陽の光が眩しかったので、すぐ目を閉じる。
「じゃああれやっぱり人じゃないんだね!?」
今度は男の人の声。何だか少し、うんざりしているような。
急に波が高くなって溺れそうになって慌てる。ざばざば音が聞こえたかと思うと、ぼくの頭は誰かの手にがっしり掴まれて、水から引き上げられた。
目を開く。まん丸目をした男の人と目が合った。
「うわぁほんとに人じゃない」
「だから最初からそう言ってるでしょう?こんにちは、抜け首さん。体をどこに落としてきたの?」
男の人の後ろから、女の子が顔を覗かせる。何か問いかけられていたけれど、ぼくはといったら。
「お腹がすいたよぅ」
もう、それしか考えられなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます