みちるさん

須堂さくら

1 むかしばなし

(さらっと書きましたが)残酷・暴力表現あり。女の人が首だけになるまでの話です。読まなくても支障はありません。


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 むかしむかしあるところに、女がひとりおりました。ぱちりとした目の可愛らしい娘でしたが、右目の上あたりから口の横にかけて青いあざのようなもので覆われていて、それがどうにも恐ろしげだったので、周りの人たちからは遠巻きにされておりました。

 村の外れに住んでいた女は、村の人たちとの交流は最小限。家の裏手に畑を作って、近くの森や川で小動物や魚を捕まえて、そうして一人で生きていました。数年前までは、女と同じように村人と離れて暮らすおばあさんと二人暮らしでしたが、おばあさんが亡くなってしまったので、それからはずっと、一人で暮らしてきたのでした。


 ある時、村が賊に襲われました。襲われる者、逃げ出す者で阿鼻叫喚の騒ぎとなりましたが、村の外れの女の家にはほとんど届きませんでした。それで女は魚釣りでもしに行こうかと竿を担いで家を出て、そこでばったり男と遭遇しました。

 男は賊の頭でした。痩せて小さくて貧相だった女は、背丈だけで自分の二人分あるんじゃないかと思われる大男をぽかんと見上げ、ぽかんと見上げた頭がそのままぽんと飛んでいきました。握っていた血塗れの刀で、男が無造作に女の首を打ったのでした。

 ぽんと飛んでコロコロ転がった女の首は、ぱちぱちと瞬きました。思い出したように自分の体がぐらりと揺れて崩れ落ち、大男がすぐに興味をなくしてその場を去っていっても、ぱちぱちぱちぱち、ずっと瞬きを繰り返していました。

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