SNSで『彼女の誕生日の日に上司にNTRれたと知りました。誰か彼女の代わりに俺と高級フレンチ食べてくれませんか?w奢りますので』と、呟くと一通のDMが届いた

田中又雄

第1話 彼女をNTRれました

『今日夜からになってごめんね』


『ううん。大丈夫。楽しみにしてるね』


『昼までは家にいる感じだよね?』


『うん。そのつもり』


 その言葉を聞いてガッツポーズする俺。

これで俺のドッキリの段取りは整った。


 そうして、俺は誕生日プレゼントを握りしめ彼女の家に向かったのだった。



 ◇


 彼女の家に到着して、ゆっくりと鍵を開けて入ると...中から声が聞こえてきた。

まずい。もしかして他の誰かと遊んでる感じか?


 しかし、その声はどう考えても遊んでる感じではない。

そう...どう聞いてもそれは彼女の喘ぎ声だった。


 そのままフラフラと彼女の寝室に行き、勢いよく扉を開けると...。


「...は?」と言葉を失う俺。


 驚いた顔で見た目は彼女。

少しの沈黙の後...。


「...ごめん。圭...。そういうことだから」と、つぶやいた。


 誕生日にドッキリで乗り込んだ彼女の家には彼女と...俺の上司が裸で寝ていた。


 現実を理解できず半分パニックに陥っていた俺に上司が笑いながらこう言った。


「お前、下手らしいな。優奈ちゃんはもう俺にメロメロでな。毎晩まとめてくるんだよw」


 悪びれることなくそう言った。元々いけ好かない上司ではあったが、さらに嫌いになっていく。いや、普通に殺したくなった。


 しかし、いろんな感情が混ざり合い泣きそうになる俺。

何とも情けなくて彼女の家を飛び出した。


 いつからそんな関係だったのか、俺のことを陰で馬鹿にしていたのか、俺はこんなにこんなに好きなのに...!


 涙で視界が歪む。

赤信号も無視して走り続けてクラクションを鳴らされる。


 本当、笑えない笑い話だ。


 家に帰るとひとしきり泣いた。

気づいたら夕方になっていた。


 ...。と、虚空を眺めながら時計をぼんやりと眺める。

そういや、夜ご飯結構いいお店予約してたよな。当日キャンセルは全額払い...だったっけ。


 どうせなら美味しいご飯を食べて、少しでも気を紛らわせよう。

そうだ。SNSで誰か俺と一緒にご飯いってくれる人探そう。


 この時の俺はきっと色々バグっていた。


『彼女の誕生日の日に上司にNTRれたと知りました。誰か彼女の代わりに俺と高級フレンチ食べてくれませんか?w奢りますので』


 そう呟いた。


 しかし、知りもしない人とご飯に行きたいやつなど居るわけないかと、自分で自分のことを笑っていると、一通のDMが届いた。


 それは見たことのないアカウントからの連絡だった。


『良かったら私とご飯に連れて行ってくれませんか?』


 プロフィールをタッチすると年齢は20歳、大学生。トプ画の写真は素朴な女の子と言った感じだった。


「...マジ?」


 俺、27歳のふつーの男だぞ。

ん?もしやこれ...パパ活的な感じで誘われてる?飯代以外に請求されるパターン?

いや...まぁ、別にそれでもいいか。

1人でご飯食べるよりは遥かにマシか。


『お願いします』


 そうして、俺は駅で待ち合わせをするのだった。



 ◇PM18:00


 今更、少し怖気付いてくる俺。

知り合いでもない20歳の女の子とご飯とか...。

マジで何やってんだろ、俺。


 流石にドタキャンするわけにもいかず、彼女のことを待っていると後ろから声をかけられる。


「あの、【ぽにゃんこさん】ですか?」


 そこに立っていたのは写真とは別人の美少女だった

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