プラン・デストロイヤー 〜神奈川の低山〜

早里 懐

第1話

人間とは目的を達成するために計画を立てる。


私もそのうちの1人だ。


今日はオープンキャンパスのため息子を遠路はるばる神奈川県川崎市まで送迎する。


息子を無事に送り届けたら、その先には約4時間のフリーダムがある。


計画を立てずにはいられない。


Plan

9:00 現地着

〜9:55 生田緑地をのんびり散策

    ※息子は車で待機

11:00 息子に行ってらっしゃいをする

〜11:30 新治市民の森へ移動

〜12:30 新治市民の森をのんびり散策

〜12:50 すすき野湯けむりの里へ移動

〜13:30 温泉を満喫

〜14:10 ラーメンをすする

〜14:30 息子の迎え


我ながらパーフェクトだ。

それでは良い1日を。




ほぼ予定通り生田緑地西口の駐車場に到着した。


息子を散策に誘ったが案の定汗をかくのが嫌だということでエアコンの効いた車内に息子を残し、私1人での散策となった。


少し歩くと我が芸術の師である岡本太郎先生の美術館があった。

びっくりして私の中の芸術が爆発してしまった。



生田緑地はまさに都会の中のオアシスだ。


緑が豊富で小川や池まである。


私はのんびりと散策していた。


すると、それはなんの前触れもなく突然やってきた。


ジリリリリリ…

ジリリリリリ…

着信だ。


発信源は息子だ。


どうやら腹が痛くなりトイレに行きたくなったようだ。


私は車の鍵を持ってトイレに行くように息子に伝え、散策を継続した。


つつじ山もあじさい山も眺望はないが歩いていてとても気持ちが良い。


あじさい山からは下り坂になった。


しばらく下ると小川にぶつかった。


小さい子供を連れた家族が何やら虫取り網を持って楽しそうな時間を過ごしている。


そこにはとても穏やかな時間が流れていた。




すると、それはなんの前触れもなく突然やってきた。


ジリリリリリ…

ジリリリリリ…

着信だ。

穏やかな時間の流れを機械的な音が遮る。


発信源は息子だ…。

今度はなんだ。




どうやら予定時刻より20分ほど早く目的地に行きたくなったそうだ。


11時くらいまでのんびりと散策するつもりだったのだが…。


しかし、今日は息子の用事の送り迎えだ。


そう折り合いをつけた私は駆け足で駐車場に戻った。


計画通りには行かなかったが、息子のおかげで良い汗がかけた。


これから温泉も控えている。


良しとしよう。


そう思いながら私は計画を狂わせ…

いや、一段と頼もしくなった息子の背中を見送った。



新治市民の森編に続く…

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