𐎢𓊆153録𓊇𐎽 サムライ☆ラブ☆アタック
黒100%のヘアカラーすれば、今よりは注目される度合いは減るだろうと思う。髪色さえ完全に変えれば別人としか思わないだろう。
黒髪ショートボブという髪型は、この世界でも多く居る。豐穣熾カレンと言えばの青紫色の髪色が黒髪になれば、変えた最初のうちは絶対に気付かれないと思う。
だんだんと黒髪のイメージが付いてきたとしても、誰でもやっている髪型で上手く人混みに溶け込む事が出来るはずだ。
そうなることを、信じている。
私達は散歩が疲れてきたので、近くのカフェに寄ることにした。私と楓夏依は前世ではよく2人でカフェにも行ったりしていた。特にカフェ巡りが好きというわけではないが………コメダ珈琲店に立ち寄って、そこで2人でシロノワールを頬張りながら、コーヒーや紅茶を飲んで何時間もダラダラと雑談をするのが好きだったりする。
雑談8割、仕事の話2割といったところか。同じ事務所で同じ仕事をしているとなると、どうしても会話の節々に仕事の話というのは絡んでくるもの。
職業病というのもあるかもしれない。日常にあったことを全てネタにしたくなってしまうので。
雑談配信のネタは日常から掻き集めて、それを面白おかしく話さないと、話のネタが無くなってしまって、変に間ができてしまうことになる。
そうなると「コイツ、面白くねぇな」という烙印を押され、それが拡散されてしまうと一気に人気が落ち込んでしまう。
事務所のブランドにも傷が付くということにもなるので、会社に損害を出すことになれば………私達2期生全体の印象が悪くなる………今まで積み重ねてきたものが全部台無しになってしまう恐怖も、最初の頃は運営側の人達には絶対に言えなかったから。
言えるようになったのも、事務処理の仕事を手伝って、正社員という扱いにもしてくれたからこそ言えたようなもの。
多分、ただのライバーとして契約しているだけで、ドライな関係を平行線で続けていたとしたら………多分、今の私達になることもならなかったと思う。
同じようにこの世界に転生してきたとしても、絶対に今のような良い結果に繋がらなかった気がする。
気がする……じゃないな、絶対にそうはならなかったと言い切れる自信がある。
楓夏依と2人で話していた時も、転生云々の話はあるわけがなかったが、「慣れない仕事を同時にこなしまくってて大変だったけど、運営の仕事にも携わりながらも、配信業頑張ってて良かったね」なんて笑い合えるくらいに良いと思える環境だった。
勿論、出来なくて怒られることも散々にあった。何度もミスして何度頭を下げたか分からないくらいに………
何も嫌なことや辛いことが一切無い…順風満帆すぎて最高!!みたいな言い方をしてきたけど、そんなことは無い。
順風満帆ではあったが、流石に何も嫌なことがないというのは嘘になる。運営の仕事をやるということは、自分よりも後に入ってきた後輩演者のマネジメントなどもやらないといけなくなる。
配信者は基本的に曲者しか居ないわけだから、少しでも不手際があろうものから本気で怒鳴り散らすのも居るし、陰湿な嫌がらせみたいな事をするのも居る。
どこにでもそういうのは居るものだと分かっていても、その人数比と治安の悪さは……流石はVライバー事務所特有だなとは思う。
VTuber事務所の運営なんて、なんちゃってホワイトカラーだよ。ブルーカラーというわけでもないが………色で言うならば、完全に真っ黒。どす黒く染まっているブラックと言える。
人間関係と給料がすこぶる良かったから、いくらでもつづけられたというのはあった。ただ、労働時間は本当に酷かったと思う。
他のライバーですらも十数時間労働が当たり前になってくる中で、そこの時間に合わせて………プラスで運営の仕事も乗っかってくるとなると、いつ寝ればいいのか分からないくらいに忙殺される。
そこに自分達の活動も………ということになると、1日5時間寝れれば「今日は十分に寝ることが出来た!!」ってなる。
その頃の片手の恋人はモンエナだった。カフェイン過剰摂取と過労で天国へ旅立ってしまうのでは?と、何度思ったことでしょうか?
………それも含めて、楽しいって思えるってことは、本当に人間関係が良すぎたことしか考えられない。
仕事が続けられない理由っていう大部分が労働時間や給与が問題ではなく、人間関係の善し悪しによって左右されるというのがよく分かる。
CRY.STi⟬A⟭LLIZATIONは最高の職場だった。やりがいがあったからこそ、いくらでも頑張り過ぎてしまうところがあった部分もある。
社長からも休めと言われても、休まずに仕事をし続けて…………無理矢理溜まっていた有給を10日ほど使わされて、配信するのも禁止された時もあった。
そういうところも含めて、…………現世に転生したから半年経った今でも、その時の思い出は昨日の事····················ついさっきのことのように感じる。
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