𐎢𓊆147録𓊇𐎽 魔法を掛けて
「そうなんですよね、個人じゃなくて背負っている看板で案件を渡す側は「ここなら仕事を振っても大丈夫だな」って任せる訳ですから」
「指名では無い限り、基本的に狙っている事務所の演者を使えるなら誰でもいいというのが本音。そして、たまたま選ばれたのが自分達だったり………っていうだけの話」
「そこで「自分が必要とされているんだ!!」って思い上がっているのが増えてきちゃうんですよ。ランダムに適当に選ばれただけにしか過ぎないっていうのに…………」
「
「私達だって、CRY.STi⟬A⟭LLIZATION2期生として売れたのは、紛れもなくCRY.STi⟬A⟭LLIZATION2期生という肩書きがあって………CRY.STi⟬A⟭LLIZATIONという事務所の魔法に掛かっていたからであって。勿論………自分達のチャンネルを伸ばすのは、あくまで個人事業主として契約を結んでいるわけだから、自分で頑張っている部分も確実にはあるにしても…………事務所の力というのは本当に偉大だと言う事が分かるよ」
「マネジメント力と営業力に関しては、どんなに個人勢で売れていたとしても、組織の力には勝てないというのは間違いない」
「本当に力を付けていきたいなら、絶対に事務所に入るべき。入る事務所さえ精査すれば、そこで魔法を掛けてもらうことが出来て…………ある程度のポジションになって、独立したいとなったら、独立に向けての準備を進めながらも、事務所との話し合いも同時進行で行って………そこが上手くいくならば、独立でも何でもすればいいと思う」
「でも、あんまり上手くいくケースが少ないから円満退社という形が……………ですよね」
「VTuberなんてガワが命みたいなところがあるのに、買い取りすらも厳しいところあるみたいだしね。経営者側からすれば、買い取らせたところで、そのガワを使って好き放題やられるのも困るっていうのも分かるんですけど」
「前例を作ると、他の演者までも「私も独立する!!」っていうことを言い出して事務所が崩壊する。買い取りの契約を結ぶということは、完全に所有権を渡すっていうことになりますからね………そうなると、自分達が口出せなくなってきますし、自分達の会社名を出して実害を与えない限り、どのような活動をしていても「無関係の人間が口出す方が悪い」という見方になるので。企業から個人になった人で「なんでガワ買い取らないんだろ?」って思っていましたけど、実際に演者になって中身を知ると、買い取りという事になると、企業側で一切コントロール出来ずに、ファンもそっちに流れていって、会社の存続が一気に危うくなる…………会社を守るためにならば、絶対に買い取らせないか、馬鹿みたいに高額の買い取りの条件を出すか……の二択しか無い」
「企業で使っていたガワが個人でも引き続き使えるようになるのは、個人から企業になった後に個人に戻る………というケースか、会社が無くなって、ガワの所有権が自動的に演者に移行した場合………くらいなものか」
「でも、CRY.STi⟬A⟭LLIZATIONはそういう契約なんですよね?」
「私達はガワとか機材は全部あっても、シンプルにメンタル壊れて死にました。CRY.STi⟬A⟭LLIZATION2期生という立場が自分達にとっては大き過ぎたんですよ」
「そういうのも普通に乗り越えられそうなもんですけどね…………皆様なら」
「不意討ち過ぎて、ノーガードで大ダメージを受けて終わりましたわ」
「······························事務所の魔法というのは、本当に大きいですよね。色々な意味も含めて」
「…………[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]でもCRY.STi⟬A⟭LLIZATIONでも、魔法をかけられた状態の自分が自分の実力だと思わないこと…………そうは思っていなくても、ふとした時に魔法は簡単に無くなってしまうということ。魔法には永遠は無いっていうこと。私達なんて、魔法が解ければ
「クエストバーサーカーで使っている魔法よりも、一切の異能を組み込んでいないのに………とんでもなく強い魔法だなって思っちゃいますよね」
「事務所という魔法に生かされてるという感謝を持ちつつも、その魔法が解けてしまった時の心の準備と身の回りの準備はしておくべきなのは間違いない。どっちか片方だと確実に痛い目を見ます。痛い目を見るくらいで済めばいいくらいなものですよ」
「···································ゆみりさんが言うと、言葉の重さが半端じゃないですね」
「痛い目通り越して死んでしまったのが私達ですから。こうはなっちゃダメだということを捨て身で表現する系VTuberです」
「炎上系VTuberよりも難解で不名誉なレッテルで笑えないんですが」
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