𐎢‎𓊆113録𓊇𐎽 DECEIVING of GLUTTONIY 〘☩〖TWENTY-FOUR〗☩〙


「中に鍵とかある?」


「千切れたコードがあるよ」


「直せる?」








____バヂヂヂヂヂヂ……












「えっ?感電しとらん?」


「USBメモリの状態のまま、端子の部分に火の魔法纏わせて溶接している」


「なんか、ガムテープ落ちていたんだけど」


「正規ルートはガムテープ付けての補修だったパティーン」


「終わった」


「降ろすよー」


「はーい」



扉の上にあった導線の修復を終えてから、楓夏依の肩から降りて、再び扉付近に付けられたボタンを押してみる。


すると、ガチャッと鍵が開くことがしてドアノブを回すと扉が開いた。


本当に…………DOOORSのようなシステムで先に進まないもいけないヤツか。開けた扉の向こうにも、一見何も無いように見える部屋と扉が見つかった。


広さは………結構な広さがある。


10畳の部屋の、5倍くらいはありそうな広さかな。工場のエントランスホールと同等以上の広さがある空間が広がっている。



何か出てきても十分に戦えるくらいの広さがあるというのが………何とも言えないところではあるな。


フラグになるかもしれないが、素直な感想を言っておく。化け物が出てきたところで、絶対にどこかしらのタイミングで、遅かれ早かれ戦うことになるのだから、出てくる度に何事も無かったようにしておけば………なんでもいいか。






___バタンッ………







「それ、閉めちゃって開くの?」


「開く開く、大丈夫」


「さて………次の謎解きはどういった仕組みになるのかな?」


「壁に、模様が書いてあるね」


「……………………読めないな」


「床には緑色に光っている部分が、それぞれの模様の下にある………っていう状態か」



タバコを吸いながら、部屋全体に見えているものを把握する楓夏依。扉の横には左右それぞれに2つずつ、謎の模様が描かれていて、その真下あたりに緑色に光るパネルが床に設置されているという状態。


美香が最初に左端のパネルの上に登ってみた結果……そこがボタンのようになっていて、壁に描かれていた模様が変わった。



「えっ?」








___カチンッ………ヴゥンッ










「どういうシステム?」


「コメント欄で「電子回路みたいになっている」っていうのがあるよ」


「おー、流石は理系君」


「要は、左端から右端まで………扉を介して繋げていけばいいって感じのヤツなのかな?」


「絶対にそれだな」



答えが見つかったところで、早速4人それぞれ1箇所ずつパネルのところに向かった。一応、手で叩いても反応するということは確認したので、私と楓夏依は手で叩いてコントロールすることにした。


美香と美咲は右側、私と楓夏依は左側を担当している。


互いの担当している模様を確認しながら、上手く回路が繋がるように叩いて合わせていく。



意外と上手く連携が取れたため、ほんの10秒程度で綺麗に模様を繋ぐことが出来、扉の鍵が開くことが聞こえた。


その後に私が間違ってパネルを踏み抜いてしまったが、どうやら1度鍵が開くと2度目は鍵が掛からないシステムになっている模様。



こういうところも、DOOORSを彷彿とさせる部分だな。








___ガチャ……キィィィィィ………











「うおっ!?」


「えっ……………?」


「さっきまでの景色と……全然違う…………?」


「····························································」



扉を開け先には、寝殿造の建物とだだっ広い中庭が広がっていた。まるで、平安時代の貴族が住んでいたような場所が………私達の視界には広がっていた。


さっきの部屋よりも10倍以上の広さは間違いなくあるような空間………私達の居る真反対の位置には扉があるのが見えた。


かなり遠くにあるため、米粒のような大きさにしか見えなかったが………ここも、魔法で作られた特殊な空間というわけか。


何の術式かは分からないが、時空間術式の中に2000年前では「伝説上の高位の存在の能力」とされていたとレムリアちゃんからは説明を受けている多元時空錬成術式フィールディスタ・スケールというもので創られているのだろうか。


2000年前の"最前線組"に所属していた小学生の女の子が使っていたとされる、当時は無敵の異能として扱われていたが………それが現代では解明されて、時空間術式を得意とするクエストバーサーカーの何人かは使えるようになったという異能らしい。


伝説上の異能も解明して、それを理論上は誰でも習得出来るようにしたのは凄い功績だと思う。


それを行ったのは、その多元時空錬成術式を使っていた人の子孫と、総督府の研究員によって解明された……と、歴史上の文献ではそうなっているらしい。


100年以上も前の話らしく、研究の真実というのもごく一部の人達にしか知られていないため、実際のところ………私達が知っているのは上澄みの上澄みのような情報でしかないという。



本当の真実が隠されがちのまま、適当な情報があたかも真実かのように広まるのは………いつの時代も変わらないということか。








___サァァァァァァ…………









「見てよ、この小川…………普通に金魚泳いでるで?」


「マジやん」


「これさ、レムリアちゃんが話していた多元時空錬成術式っていうヤツじゃないの?生き物でも普通に作れちゃうような術式って言っていたじゃん」


「ミーシャちゃんも言ってたっけ?ミーシャちゃんの方が多元時空錬成術式っていう異能については詳しいとかって話していなかったっけ?」


「2人も配信を見てくれてるんだったら、何かしら反応して欲しいな………」


「ずっと反応してるよ」


「あっ、マジで?」


「めっちゃスパチャ投げてるよ?」


「コメント欄、誰?誰?っていうので騒がれてるけど」


「あー、うん。知りたいの女の子」


「セ○レだって」


「こるぁぁぁぁ!!」

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