𐎢‎𓊆39録𓊇𐎽 OLD WOUNDS


ああ、偽善者が少なかったならば………私達の寿命ももう少し伸ばすことが出来たかもしれない。前世の時の良い環境をまだ楽しめたかもしれない。


そういった外的要因も積み重なっての、あの結果だと思いたくなる。社長だけが悪かったとは私は言い切れない。運悪く、色々な事が表に出てしまっただけ。


社長よりも何倍も悪辣な人間なんて沢山居る。そういう奴等に対してほど、世間は避難するどころか擁護する奴等まで一定数出てくる。


攻める人間を間違えているとしか思えない。今までやりたいようにやってきた社長に対しての因果応報だとしても、その因果応報を受けるべき人間は他にも大勢居る。


心の底から···············「なんで、社長だけが………!!」って、ずっと思っている事だった。


おそらく、ずっと引きずっていくことになる過去からの憎しみとして、私の古傷と一緒に………私という存在が完全に、私から忘れされるまでは半永久的に残り続けるだろう。


癒えることも、忘れることも叶わない…………私の、大きくて見えない思い出古傷



「ねぇねぇ、ゆみりは私の顔を見過ぎて下半身という下半身のダムが決壊してとんでもない事になってるらしいよ?」


「おいおいおいおい!?」



美咲さん、突然なんてことを言い出すのですか。いきなり過ぎる爆弾発言を投下するのは勘弁してくれませんかね。


いきなりでなくとも、そういった類の爆弾発言は、私の社会的な地位に直接ダメージが及ぶような事ですので。


………………本当に、どういう精神状態でそんなことを言い出しているのだ?



「何を言い出すんだ。貴様は」


「美咲、そういうことを言うな。ちょっと大物を仕留めたからと言って、少々調子に乗り過ぎなところがあるんじゃない?」


「別に、調子になんて乗っていないんだけどぉ?」


「調子に乗ってる乗ってないはどうでもいいんだ。この際は。私が言いたいのは、ゆみりに迷惑になるようなことを言ったりやったりするなと言ってんだよ」


「ほうほう」


「何やねん、コイツ。本当にムカつくわ」


「私はゆみりの事しか見えていないから」


「·············································⎛𖥚・̄ധ・̄𖥚⎞」



私よりも同性愛に目覚めているのが居るね。というか………私の事を3人とも狙っているような雰囲気だな。


これも一種のハーレムという状態になるのだろうか?………………誰得のハーレムなのだろう。同性間においてのハーレムなど、ウケる層というのはマイノリティなカテゴリーに属するのでは?と思う。



…………私は、どういう選択をすればいいのだろう。この中で一番気持ちが重いと見られるのは、楓夏依だろうか?


私が絡むと急激に重たい感情をフルスイングでぶつけてくる傾向には前々からあったのは感じ取っている。



「おい、テメェ。私のだぞ」


「私は誰のものでもないわ」


「皆のアイドルだもんね」


「私、自分がアイドルだと思って活動した事ねぇわ」



私のどこにアイドルの要素があるというのだ。どこにもアイドルらしさなんていうのは無いと思いながら活動していたつもりだ。


ガチ恋営業に近い事や、オリ曲も恋愛ソングだったり、カバー曲もジャニーズメドレーをやれば、ジャニーズの曲が恋愛ソングが多いこともあって、それで男性ファン集まって投げ銭募りまくったこともある。


後、CDとして音源化されなかった曲………手越の曲の中で円盤収録されなかった曲をアカペラで歌ったりもした。


ライブ映像にしか残っていないため、勿論カラオケでも入っていない曲があったので、アカペラ………というか、片耳イヤホンでYouTubeに上がっている音源を聴きながら配信では歌っていたりした。


ただ、聞いている側にとっては歌声以外は聞こえていないわけだから、「アカペラで手越祐也の、全く知らない曲を歌っているVTuber」という状態になるわけで。


手越と京本大我君の2人で作った、心に染み渡る素晴らしいバラード曲、タイトルは「茜空」っていう名前。

色々と事情があって、しっかりと音源化されなかったのが勿体無いくらいの、知る人ぞ知る幻の楽曲。


「私、未音源化の曲までしっかりと覚えて歌えます。これが真のファンというものでは?」というマウンティングをするために歌ったわけではない。


私の、豐穣熾カレンのファンなんて男性ファンが圧倒的に多い状況であるのに、何のためのマウンティングになるというのだろうということにもなる。


推し活兼仕事をしているだけのヲタク系VTuberのソレでしかない。匿名掲示板では私の配信の切り抜きを見掛けたジャニヲタの女が「アピールがキモい」という………主語がない、馬鹿丸出しの書き込みを見つけて「何のアピールがキモいのだろう?」ということを楓夏依に「なんだと思う?」ということを相談したことがある。


返ってきた答えが「女が好きなくせに男好きなアピールしているところがキモい」とか、それは楓夏依の感想ですよね?と思わせる返答が返ってきた時は笑いも同時に私の中で起こった。


自分でも何が面白かったのか、次の日以降になってからは思い出そうとしても何も思い出せない笑いだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る