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結局予約はしなかったけど、本人には伝わったみたいだから予約したのと同じだった。
確かに狭いところ。10人も入れば満員になりそうだった。
私たち三人が居なかったら。
ほかには3組4人しか居なかった。
ピアノとドラムとのトリオで、ふたりとも女性。
演奏はとてもすばらしかった。
こんな素晴らしい演奏なのに。
なぜこんなにお客さんが少ないのだろう。
常連らしいおじさんに休憩時間に声をかけられた。
「三人はお仲間?」
「はい。」「あ、岡さんのことを知っていて。」
「そうですか。なかなか人が集まらなくてね。」といって渋い顔をしている。
「あのう。」
「ああ、岡です。父親です。」
「あっ、失礼いたしました。」
「留学したからって人が集まるもんじゃないね。」
「そういうものですか。」
「最初だけだよ。人が集まったのは。」
つらそうな顔をしている。
岡さんがやってきて、
「すみません、父がなんかご迷惑お掛けしてますか?」
「そんなことないです!全然!」「お客さんがーって、お父様が。」
「そうね。人気ないんです私。リーダーライブはこんな感じなんです。」
もったいないなあ。こんな素敵な演奏なのに。
「今日はありがとうございます。」
「ピアノの方は一緒にボストンに行ってたかたですか?」とサブロー君。
「そうそう、そうなんです。1年先輩なんですけど。1年一緒でした。」
「素敵なトリオですね。」とサブロー君。
「素敵でしょ!」と岡さん。
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