13の死神

三宅アズ

第1話 |オワリのハジマリ

硬い床。冷たい夜風。多分ベッドから落ちたんだ。窓はお姉ちゃんが開けたのかな。

__それにしては周りが騒がしい?

寝室にTVはないはずだし、うちは私とお姉ちゃんしか住んでいないはずだけど…。

「ん?」

そこには、顔も名前も知らない人たちがいた。

__家じゃなかった。

「あ、起きた。」

可愛らしい子だった。全体的に緑多めの格好で、青みを帯びた瞳。小学校高学年ぐらいなので、自分より年下だ。

「あの…大丈夫ですか?」

「え、あ、うん!だ、大丈夫だよ…!」

人前に出るのが苦手な私は、こういうときに言葉が出なくなってしまう。今ももうガッチガチに固まってしまった。

「あの、自己紹介しませんか?他の人たちもいることなので。」

他の人…?

「おい、時間かけすぎて他の奴らみんな行っちまったぜ」

そういったのは、見た目真っ黒でとても近寄りがたい男の人。

年齢はわからないけど、少なくとも私より年下ってことはなさそう。

「ああ、自己紹介か?俺は爆紗 双堕(ばくしゃ そうらく)だ。」

「私は、あ、青鷺 琴葉(あおさぎ ことは)…です…。」

「天雪 音(あまゆき おと)です…。」

琴葉ちゃんか…。可愛いなぁ…。

「_素敵、」

「?」

「え、あ、名前、素敵だなぁと思って、あの、すみません、」

「え、いや!あの、嬉しいよっ、というか、私も可愛いと思っちゃった、あの、ごめんね?」

「え、いえ、こちらこそ、あの、え、…」

「おいおい、話し逸れてんぞ、終わったならさっさと行こうぜ」

琴葉ちゃんともっと話がしたかったけど、近くに双堕さんがいるので諦めた。

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広場には十人ぐらい人が居た。

「「君達が最後だね!」」

と言ったのは、水色髪の少年と少女。シンプルなパーカーに短パンで、謎の雰囲気オーラを纏った双子だった。

「「僕(私)は今回のゲームマスターだよ!これから大事な話をするから、聞いててね!」」

双子曰く、これは十四人で行うデスゲーム。十四人の中に一人スパイが混じってて、それを見つけるゲーム。さらに敵が五人居て、プレイヤーを殺しに来るという。三十時間の戦闘の後、投票でスパイを吊る。吊ったのがスパイだったらゲームクリア。違ったらゲームオーバー。敵には一人ひとり“神”が属していて、殺した敵に属する神の能力を得る。神が何なのかは殺すまでわからない。

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「ウッソだぁ、そんなのあるわけ無いじゃん」

「なんのドッキリ?」

「ここどこーー!?」

「誘拐!?警察は!?」

「ふざけんな!!」

誰かが言い出すと、他の人達も騒ぎ出す。

「あー、あー、うるさいんだから。」

「これだから人間って。」

呆れ果てた双子に、周りは更に食いつく。

「うるさいだとか、余計なお世話!」

「早く帰してーーー!!」

「というかお前らも人間だろーー!」

「警察呼ぶよ!?」

デスゲームなんてものはない。ただのドッキリ。

__そう、信じていたかった。

「もう、信じないんなら信じなくていいよ‼」

「じゃ、早速ゲームスタートと行くよ‼」


【ゲームガ始マリマシタ。プレイヤーノ皆サンハ直チニコノ広場カラ出テ下サイ。5分後ニ敵ガスタートシマス。】


__最悪の三十時間が始まった。

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