【闇鍋】みたいな異世界の攻略法は【ゴリ押し】だと信じてるんだけど、間違っている訳ないよね?(圧)〜最強回復スキルと最強攻撃スキルを持つ女のせいで異世界がヤバイ件

ななつき

第0話 作戦名〈ゴリ押し〉

 昔から細かいことを考えるのは嫌いだった。

 特に数学、公式なんて覚えること自体が面倒くさすぎたのでひたすら本自体を暗記してゴリ押した。……点数は割と良かった。


 英語?そんなものは英語帳ごとゴリ押しで覚えればいい。片っ端から全て覚えれば頭に入ると信じていたから。……割と高得点だった。なんで?


 理系科目は基本ゴリ押しで、文系科目もゴリ押しで突破した。


 体育?当然フィジカルでゴリ押し一択。技術力なんていらない、相手を上回る力でねじ伏せればいいだけ。


 面接なんて死ぬほど嫌い。ゴリ押しすると高確率で不合格、だから自分に嘘をつくのが気持ち悪い。


 回避?防御?そんな考えは私は持っていない。だってそんな暇があれば殴って倒した方が早い。


 まぁそんなこんなで私はゴリ押しが好きだった。

 ゲームも同じだ。昔から回復がぶ飲み、回避などせずにひたすら殴り続けるばかり。

〈だってそっちの方が楽だし……避けるのとか面倒くさいし〉


「リッツーマジでゴリ押しばっかじゃん!」


 リッツーとは私のこと、文名 律可。


 ぶんな、じゃなくて『ふみな』……下の名前は『りっか』まあ『りつか』でも合ってるかな?

 ここんとこは母親が漢字と音で決めたからまあ好きにしたらいいよ。


 よく一緒にゲームしていたネッ友からは『ゴリ押しの姫』『脳筋バーサーカー』とか言われていた

〈脳筋では無くてただゴリ押しの方が早い事が多かったからなんだけどね〉。


 私は正直ゴリ押しできるならゴリ押しすべきだと思う。だって細かいことなんて気にしてたら禿げるよ?

 まぁ私の場合はよく学校でも先生やら母親やらに、あんたは無理やり突き進みすぎ!

 なんて怒られがちなんだけどね。


 まぁそれでも割と楽しい日々を過ごしていた。

 ──────あの日までは。




 ◇◇◇◇◇


 目が覚めたら教室じゃ無くなっていた時、まずは壁をぶん殴ることから始めたのは私だけだろう。


 泥を口に含んでいたのか、ジャリジャリしているが無視して横に吐き捨てる。


 すぐに周りにクラスメイトが倒れていることに気がついたが、私は無視して壁を殴る。

 何故って?

 ……だってそこに壁があったから。


『ははははは!異世界へようこそ!おや?まだ貴様らは寝ているのか……ふむ仕方がない!起きろ』


 突然頭の中でうるさい声が響く、うるさすぎて耳がキーンとなるぐらいにはうるさかった声の主は私たちの前に現れた。


 先程の声に合わせてみんなの意識が覚醒して言ったのだが、まぁ阿鼻叫喚とだけ言っておくよ。

 実際、私たちは洞窟の中にいた。衛生面では最悪だろうし何より地面がねっちょりしていて制服とは明らかにミスマッチな場面だった。


『ふむ貴様ら黙れ』


 声の圧によりその場の空気が固まる。

 その様子を見て満足したのか、その男は再び話し始める。


『さてさて改めて、異世界にようこそ!諸君らは我々の女神の力により異世界へと呼び出された』


 今度は別の意味で阿鼻叫喚だった。

 異世界転移、なんてシチュエーションは流石に高校二年生の燻る厨二心に火をつけた。


 目の前にウインドウが表示され、そこには

『異世界で自分がどんな戦い方、生き方をするかイメージしてください』

 と書いてあった。

 皆が目をつぶりおそらくたくさんの妄想を膨らませている時に私は目を開けながら考える。

『【……ゴリ押し一択】』

 ダメだ、何度色んな戦闘スタイルを思いついても結局これになってしまう。


 もっとエレガントな感じか?……いやいやそんな手間かけるならぼこぼこにした方が早くね?


 なら魔法?……唱えてる時に殴る方が早そう?


 結局周り回って『ゴリ押し』になってしまうのが私の宿命なのか?

 とか考えていたら再び男が話し始める。


『ふむ君たちの妄想は理解した!……くくくくく、はははははは!!!愚か!実に愚か!』


 いきなり愚かとか言われたら誰だって唖然とする。

「愚かって何ですか!私たちは真剣にあなたに言われた通り想像したんですけど!」


 その声に合わせて皆もそうだそうだ!と言っているのをみて、案外みんな考えてる事は一緒なんだな……と私は顎を撫でながら眺める。


 普段はあんなに異世界?そんな妄想なんてしてるんだとか言ってたヤツも賛同してて本当に人間って面白い。


『ふむ、まぁ君たちの理想は分かった……では早速その力を貴様らにさずけよう!女神様あとは……』


『はいはいー!私が女神様ですよー崇めて奉りなさい!……』


 なんかエッチだ。服装がと言うか雰囲気?みたいなのがエッチだ。


 そんな女神様に男どもの鼻の下が伸びている。

 その様子を見て嫉妬している女性もまた面白いなぁ。


『はいはいいきますよ〜えい!』


 その女神の掛け声に合わせて、みんなの身体が光り始める。

 さしずめ、ホタルイカのように。


 光の中で私は目の前に武器選択と出てきて驚いた。

 ──勿論、チェーンソーを取得。だって異世界で剣とか振るうよりこっちの方がゴリ押しスタイルにあってるイメージだったから


 途端、手の中にずっしりとしたチェーンソーの重みが伝わってくる。

 それに合わせて、いくつものスキルが表示されて私の中に入ってくる。


「えっと……〈超速再生〉〈完全耐性〉〈経過身体強化〉〈攻撃時回復〉〈攻撃回数に応じて攻撃力アップ〉〈適応〉〈魔力自動補充〉〈自動軽減〉〈魔力カット率自動上昇〉〈敵討伐時回復〉〈魔力自動回復〉〈敵討伐時魔力増幅〉〈常時自動魔力増幅〉〈適合〉……まだあるけどなんか見えないな……」


 っていうかすっごいゴリ押しする気満々のスキルばかりだった。

 多分自分がやってるMMORPGでもこんなスキル構成だったはず。

 ということはそれに近しいものを持ってきたのか?


 光が戻った時、みんなの見た目が少し変化していた。

 おそらくあれは理想な自分という事か?……まぁ私は元がプリティとか求めてないですし変わってないとは思うけど!


「お前何手に入れた?……俺はね〈超攻撃魔法〉!〈魔力無限〉」


「おいおい俺は〈ハーレム作る能力〉でハーレム作るんだから邪魔すんなよ?」


 ……あれ?

 私は首を傾げる。

 他の人はスキルを多くて3つ程度しか手に入れていなかった。

 私だけなんか多くね?……


『ふふふふふ皆様、欲張りなお方達ですねぇ……願いが少ないほど多くのスキルを貰えたというのに……そんなに欲張るからスキルが少なくなってしまったんですよ?』


「はぁ?!……自分が欲張って何が悪いんだよ!」


 なるほど、私がスキルが多かったのは『ゴリ押し』だけしかイメージ出来なかったからか。───それって単純ってことかな?なんか嬉しくないんだけど……。


 そう言いながら男は女神を下がらせながら浮かれている私たちに衝撃の一言を投げかける。


『──では皆様、力は手に入れましたね

 いいことです……ですので


 皆キョトンとしている中、私は勝手に納得していた。

 それはそうだ、そもそもなんで洞窟なのか分からなかったがここはダンジョンというわけか。


 私は取り敢えず武器を手に持ち、ゴリ押しする準備を始める。


『───ああそれから……制限時間内に外に出れるのは4名のみ。

 ほかの人たちは我々の奴隷として使役させていただきます……勿論外に出ればその瞬間から自由……

 どうぞこの異世界を堪能してください』


 はぁ?と皆が呆気に取られている間に男がパチンと指を鳴らすと。私たちはいきなり細道に飛ばされる。


 アナウンスがかかり。


『まずは皆さん1人で挑戦して頂きます

 勿論、モンスターも出てきますし、死んだら先程の場所からやり直しとなります

 ……おやなんでそんなことを?と怒っていらっしゃるようですが……


 当然どうやって扱うかは私たちの自由な訳です……

 ほらほら、早くしないと他の人が先にゴールしてしまうかも知れませんよ』


 ◇◇◇◇◇◇◇◇





 この作品は昔書いたものです。

 それを書き直しと言うか作り直して書いてみようかなって感じで描き始めたものです。


 もし良かったら☆とか♡とかを押していただけるとモチベーションにつながりますので……ぜひともよろしくお願いします。

 ちなみにこの作品はひたすら脳筋バーサーカーな女の子が、女の子を投げ捨てながら無双していく物語です。主人公サイドでは胸糞もありませんし、心が痛むことも……多分無いかな?


3話までは実はほぼ同じなんですが……4話辺りからガラッと元のやつと変わってますので。



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