第114話 脅し
「……ちょっと待ちなさいよ」
今日パリピの初めての焦りの声を聞いた。
凛明は口を少しだけ歪め、春香はそんな二人を見てまた呆気に取られる。
「あんた、それをどこで拾ってきた?」
「……ん。姉の知り合いに、人望ネットワークというものが広い人がある……その人に色々と調べさせてもらった」
実は凛明はパリピ対策として紗耶香から……厳密にいえば彼女の友達の力により様々な情報や写真を集めていたのだ。
「まぁ一応そういう趣味の人もいるからね……」と何故か遠い目をして喋っていたのは彼女の記憶に新しい。
「……これだけじゃない……色々ある……ほら、これとか」
凛明はそう言いながら、彼女に見せる様にスマホをスクロールしていき、様々な写真を見せていく。
「……春香のことは言うくせに、自分のことは甘く見るんだ」
嘲笑う様な発言に普段の彼女であれば、キレたり煽り返したりするのだが……今のパリピの表情は真っ青と言っていいほど青ざめていた。
春香も気になってしまい、少し覗いて見てみると……。
「……な、なにこれ……なんでパリピさんがこんな歳の離れたおじさんといるの?」
「……ん。つまり、そういうこと……春香よりもそこのパリピ女子の方が際どいことをやっていた」
凛明のスマホに写っていた写真には目を見張るものがあった。
その写真全てに共通して、パリピが見知らぬ男性……主に40代から50代を中心に、お金を貰っている姿があったのだ。
「……これ、パパ活ってやつ?……私はお前のほうが気持ち悪いと思うよ」
パリピと同じようにスマホの電源を切り、改めて彼女の方に目を向ける。
「……もしこれがSNS、インスタに上がったらどうなるんだろうね……この学校の人たちたくさん使ってるから……いっぱい見られると思う……それに、世間の目にも触れる。そうしたら、もみ消すなんて絶対出来ない……これって詰みってやつ?」
「ッ!卑怯よ!こんな真似して!!ただで済むと思ってるの!?」
「……卑怯かどうかなんて関係ない……私は、私の友達を傷つけた奴のことがどうしても許せない……たったそれだけ」
その言葉に感情がない。いや、その底しれぬ圧がパリピの心を徐々に蝕んでいった。
「……なにが、目的よ……!」
言葉では強気だが、身体は正直なようだ。ブルブルと自身の腕を抑えて震えており、彼女が紛れもなく恐怖を抱いている証拠でもあった。
そんなパリピに凛明は流暢のない言葉で要求をする。
「……金輪際、私達と関わるな。別にお前たちが私達のことをどう思うかなんてどうでもいい。そんなこと考える暇なんてないから」
「……わ、分かったわ。金輪際、貴方達と関わることはしないわ。だからその写真は……」
「……消すつもりはない。そんなことしたらお前が何をするか分からない。でも、安心して。私は口が堅いほう。だからこのことはお互い、なかったことにしよう」
ただ何もせずに棒立ちでこちらの方を向いているパリピの横を通り過ぎるように、凛明は歩いていく。
「……春香。行くよ」
「えっ……あ、うん」
呆気に取られていた春香も凛明の言葉で正気を取り戻し、二人は自分たちの教室を後にするにであった。
「……くそ……くそ……!くそ!!」
パリピの憎悪とも取れる叫び声が教室中に響き渡った。
「……覚えてなさいよあのくそチビ……!ふざけやがって……いいわ。私に歯向かったことを後悔させてやる!!」
パリピはそう言いながら、しばらくして教室から出ていった。
凛明が思っているほど、彼女は甘くないようだ。
そして誰もいなくなったその教室に残されていたのは……僅かに醸し出している不穏と不気味さだけであった
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