第56話 女子会


『かんぱ〜い!!』


ホテルの部屋の中で鳴り響く。そこには沢山の食事が並んでおり、コップを持っている5人の人物がいた。


「今日はお疲れ様。3人とも凄い上達したと思いますよ」


「ほ、ほんとですか?真中さんに言われると嬉しいです」


「……ん。楽しかった」


真中の言葉を聞き、嬉しそうに微笑む栞菜に満足そうにぼやいている凛明……そして美味しそうに料理を食べている紗耶香。


「あ、紗耶香ちゃん!これも、これも美味しいですよ!」


「えっほんと?……美味しい……!」


……と、同じく美味しそうに食べている結奈。

その姿を見て思わず苦笑してしまう栞菜と真中に、彼女たちと同じく食べ始める凛明。


「今日は本当にありがとうございます真中さん真中さん達のお陰で今日は楽しめました」


「い、いえそんな!お礼を言われるほどじゃないですよ!」


「ふふっ。そんな畏まらないでください。今では旅行をする仲ではありませんか。エイジさんみたいに接してくれると嬉しいです」


「あ……その、善処します……」


ユーチューブを活動してる人であれば聞いたことであるだろう栞菜を目の前にして対面だと緊張してやまない真中。


「……で、では一つだけ……聞きたいことがあります」


だが、そんな真中でも彼女に聞きたいことがあるそうだ。


「………祐介との関係を教えてくれませんか?」


「……………へっ?」


瞬間、先程までざわめいていた空間が一気に静かになる。


「……ど、どうして聞きたいと思ったのですか……?」


「その……き、気になったんです!祐介と栞菜さんが知り合いと知った時から……ど、どのような経緯で知り合ったのかなぁ……って」


「……えっと……そうね」


僅かに顔を赤らめたものの、彼女はぽつりと語り始める。


「……私とエイジさんの関係は……なんと言えばいいのでしょうか……し、親密関係であることは確かです」


「し、親密……」


その言葉を聞いて真中は衝撃を受ける。何せ大物ユーチューバーと友人が親密であったのだ。

驚くことに無理はない。


「私が辛い時にいつも助けてくれる人なんです……だから……誰にも渡したくない……」


「?」


「なんでもありません。そういう真中さんと……そこで聞いている結奈ちゃんはエイジさんのこと、どう思ってるんです?」


「わ、私……?」


「私も……!?」


密かに耳を研ぎ澄まして聞いていた結奈は動揺しており、真中もまたピクッと身体を動かしたが……話し続ける。


「わ、私は大学の時に知り合って……最初はただの友達でなんてことなかったけど……私たちをここまで大物にしてくれて……なんだかんだ祐介はかけがえのない存在です」


「……私も、そうですね。会社の中で先輩だけが自分の夢に向き合ってくれた……いつもはあーだこーだ言ってますが、頭が上がらない人です」


「………隅に置けいない人ですね」


一瞬だけ虚な瞳のまま微笑んだ栞菜。しかし、それも束の間。二人が彼女の方を見た時にはいつもの栞菜さんに戻っていた。


「紗耶香ちゃんと凛明ちゃんはどう思ってるんですか?結構先輩と親しそうにしてるので気になります」


結奈に聞かれてお互い顔を見合わせてから紗耶香から話した。


「私かぁ……私にとってエイジさんは……なんだか神みたいなお人です」


「か、神?お、大袈裟じゃない……?」


「えっ?そうじゃないよ?だってエイジさんは私を救ってくれたんだよ?そんなのそう認識するのは当たり前じゃない。エイジさんの動画は素晴らしいものなんですよ?ゲームに歌に音楽、それに単純な雑談配信。どれもこれも一流!全部が素晴らしいんですよ!!なんで世間は評価してくれないんでしょうかおかしいとは思わない結奈ちゃん?エイジさんってどれもオールマイティーで完璧で素晴らしくて……」

「……紗耶香、ストップ。結奈……圧倒されてる」


「……ありゃ?これは……ちょっと暴走しちゃったかな……」


目をパチパチと瞬きを繰り返している結奈と息を飲み込んだ真中を見て苦笑してしまう。


「………最後。私」


「そ、そうですね……凛明ちゃんはどう」

「宝物」

「……え?」


「……エイジは……宝物……大事な存在」


再び真中たちは衝撃が走る。あまり言葉を発しない凛明の強い発言が思いの強さを物語っていた。


「………ね、ねぇ結奈ちゃん……この三人もしかして……」


「……えぇ。もしかしなくてもかもしれません」


………彼に対して強い想いを持っている。


それを認識して冷や汗を感じた二人は仲良く大盛りを食べている三人を何故か強敵と認識するのであった。





「ぶえっくしゅ!?」



「……どうしたんだい?そんな盛大にくしゃみして」


「い、いや……なんか悪寒が走って……気のせいかな……」


「案外、気のせいじゃないかもしれないよ?」


「勘弁してくれ……」


またホテルに向かっている祐介は……本能の危機を感じたとか。







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《全てを失う悲劇の悪役による未来改変》


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