第23話 期末テスト
学校祭。準備期間に
夏休み。お祭りで霧江と待ち合わせをして色々な出店を見て回った。お化け屋敷やりんご飴、くじ引きに、型抜き。どれも楽しくってあっという間に時間が過ぎていった。
体育祭。前まではとても憂鬱な気分だった行事だが、霧江とお互いに応援しあったり、お弁当を食べたり。今までの暗い記憶がなかったことのように思えた。
そして、期末テスト準備期間。お互いの家に行って勉強会を開いた。簿記やパソコンなどの情報系列の授業以外の国語や数学は、ほとんど出来るのだが、初めて勉強する教科については霧江に教えてもらいながら勉強をした。
九月の二十日。思い出したくもないが、霧江のファーストキスが奪われた日。特にいつもと変わらないのだが、変に身構えてしまっている自分がいる。
「霧江、今日も勉強会しよ」
「うん、ちょっと待って。今準備するから」
教科書やノートを鞄に入れる霧江の傍で、私は隣のクラスの様子を観察していた。
「どうしたの?」
「何でもないよ。早く帰ろ」
私は用心深く、階段を降りるギリギリまで朝日のクラスを見つめていた。
◇
霧江宅。高校に入る前にも何回かお邪魔させてもらっているが、いまだに慣れない。霧江の部屋にあるテーブルに勉強道具を広げ勉強をスタートする。
淡々と時間が過ぎて、日も落ちてきた。ふと、前回の光景が頭をよぎる。
ギュッと目を瞑り、そのタイミングを待つ。その時間が過ぎるまで、安心が出来ない。カッチカッチと秒針の音と霧江がシャーペンで書く音しか聞こえない静かな部屋で、その時、06:23を迎える。
「はぁー」
一気に緊張が解れ、安堵が心を包む。
「疲れた?もうそろそろ解散する」
「全然大丈夫だよ。でも、もうそろそろ帰ろうかな」
「気をつけてね」
そのまま、今日は解散となった。外まで霧江が見送りに来て、見えなくなるまで手を振った。
◇
「おはよう」
「おはよう、
「いよいよ明日から、期末テストだね」
「そうだね、今日は明日に備えて早く寝ないとね」
すっかり元通りに戻った私は、とりあえず明日のテストに向けて、真面目に授業に取り組んだ。
あんな未来はもう無いんだ。そう考えるだけでいつもの何倍も頑張れた。
テスト当日。実際に二年生の前期期末テストを受けるのは二度目であり、時間で言うと約六年ぶりだ。
もう、ほとんど内容は覚えてないが、霧江と一緒に勉強して来たため、前回よりもきっと良い点数だろう。
テストは二日間続き、計九科目のテストを行った。
手応えはかなりあった。これで赤点なんて取ったら霧江に合わせる顔がない。
テスト返却。教科によってバラバラだが大抵、追試などの都合でテストがあった日から二日間くらい開く(土日を含めない)。
合計三日間で全てのテストが返ってきた。どれも、平均点を超えていて、赤点は一つもない。最高は国語の86点。最低は英語と簿記の65点。平均約74点という、一年生の頃に比べれば劣るが、過去最高得点である。
霧江の方も平均約90点という、かなりの得点を叩き出していた。
一方、共哉の方はどれも平均以上なものの、平均約56点で、私の実力に恐れ慄いただろう。
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