断片
夕雨 夏杞
過去のノート
2021/6/3
この世界で何かを探していた。
何なのかは分からないが、とにかく何かを探していた。しかしそれは全く見つからない。
宮沢賢治の授業で、希望とは無主でわれわれのものではなく、どこか遠くに、ここではない場所にあると学んだ時、腑に落ちたような気がした。私が探していた何かは、どうりで見つからないわけだ。そして安心した。誰のものにもならない、それはここにはない。
永遠にして未知なるもの、そういうものを追い続けている限り、私は死ななくてすむような、そんな気がした。
2021/8/28
いつか海の近くに住みたいと言ったら、母が「いいねーこれからどこにでも住めるんだから」と言った。私は疑問に思って「なぜ?」と聞くと、「だって自由じゃん、なんでもできるよ」という。自由か、そうか、私は自由なのかと思った。
2021/9/19
真っ白いシャツを着て人混みの中を歩く時、たまに思う。この先急に誰かとぶつかって、この真っ白いシャツが赤く染まってるんじゃないかって。怖いわけでも不安なわけでもなく、何となくそう思うことがある。
2022/1/13
どうして自分の限界を知っているのに酔いつぶれるまで飲むのかという質問は、どうしていつか死ぬと分かっているのに自殺なんてするのかと聞くようなものだ。
2022/10/3
私は誰かに叱られるのをずっと待っている。怒られるのを待っている。だけど誰もしてくれないから、私が罰するしかなかった。
2023/5/10
本を読むことは逃避のようで現実だった。
最後はどうしたって、夢から覚めなくてはならない。
2023/11/2
頭の中で自分の葬式を想像してる、想像出来てしまっている。
断片 夕雨 夏杞 @yuusame_natuki
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