第16話:其処岳 未瑠奈(そこだけ みるな)って人。

俺と瑠奈がショッピングパークからマンションに帰ると、リビングに

姉ちゃんと馬草把うまくさわさんの他に見たことない女の人がいた。


俺たちが買い物に行ってる間にその女性が訪ねてきたらしい。


で話を聞いてみると、なんとその女性、三途さんず の川辺で、亡者 の

衣服をはぎ取るっていう三途河の婆しょうずかのばばって人だって、

馬草把うまくさわさんが説明してくれた。


「叶多・・・この人、馬草把うまくさわさんと同じ、あの世の人みたいね」


姉ちゃんが言った。


「だな・・・」


その三途河の婆しょうずかのばばって女の人は 俺の姉ちゃんくらいの

歳恰好のめっちゃ綺麗な人だった。

瑠奈がいなかったら、お付き合いをお願いしたいくらい・・・。


「え?ばばってくらいだから、ばあさんじゃないの?」

「おネエさん、めっちゃ若いけど・・・」


「この姿は現世での仮の姿だよ・・・ニイちゃん」


「あ〜そうなんですか・・・」

「あ・・・僕の名前「遥 叶多はるか かなた」って言います。


「知ってるよ・・・君のことも瑠奈ちゃんのことも・・・」

「ここへ来る前に調べて来たからね」


「私、其処岳 未瑠奈(そこだけ みるな)って名前」


「あ〜どうも・・・其処岳そこだけ?・・・未瑠奈みるなさん」


「叶多、其処岳そこだけさんは瑠奈ちゃんと馬草把さんを連れ戻しに

来たんじゃないの?」


って姉ちゃんが・・・。


「そうなんですか?未瑠奈みるなさん?」

馬草把うまくさわさんはともかく瑠奈はあの世になんか返しませんからね」


「心配しなくても連れて帰ったりしないよ」

「その逆・・・実はいい話を持ってきたんだ」


「いい話って?」


「叶多くん・・・生身の瑠奈ちゃんと幽霊の瑠奈ちゃんとどっちがいい?」


「幽霊もいいですけど、やっぱり生身の瑠奈がいいかな」

「瑠奈の実体化維持タイムは今んところ30分が限界なんですよ」

「でも後どれだけ伸びるか分かんないし・・・このまま実体化できないかもしれない

じゃないすか?」


「私、がんばってるよ、叶多」


「分かってるけどな・・・このままじゃエッチできるかどうかも分かんないだろ?」


「叶多・・・おまえそれしか頭にないのか?」


「それって大事なことだろうがよ、姉ちゃん・・・」


「あのさ・・・そんなにエッチしたいんなら生前の瑠奈ちゃんを生き返らせれば

いいんだよ」


「え?そんなことできるんですか?、未瑠奈さん」

「どうやって? だいいち瑠奈の体は火葬場で焼かれちゃってるんですよ」


「バ〜カ、灰になった体なんか役にたたないことくらい分かってるよ」

「ちゃんと形を留めてる時を狙うんだよ」


「実はこの方法はちゃんとした理由がないかぎり使わないんだけどな」


「方法って?」


とぅ〜び〜こんて乳。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る