第10話:それぞれのピンチ。

今朝、ちょっと話題に上がったオカルト女「望井手 美奈のぞいて みな」から、俺は屋上に呼び出された。

屋上?・・・それはめっちゃ嫌な予感がした。


「あのさ・・はるかくん・・・君、今付き合ってる彼女とかいないんでしょ?」


「え?・・・ああ・・・いない?・・・けど・・・」


(いない訳じゃないだろ・・・幽霊だけど俺には瑠奈がいるよ・・・)


「瑠奈ちゃん気の毒だったね・・・遥くん、もう立ち直れた?」


「ん〜まだちょっと・・・」


「そうだよね。そんなにすぐにはね・・・」

「あの私でよかったら遥くんの力になってあげたいんだけど・・・」


「え?」


「私、遥くんと瑠奈が付き合う前から君のこと、好きだったの」

「だからね、よかったら私と付き合ってほしいかなって思って・・・」


「え?・・・まじで?」


(瑠奈・・・俺今、めっちゃピンチ)


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その頃、遥家にひとりの男性客が訪ねてきた。

ドアホンが鳴ったので瑠奈は、ろくに確かめもせず玄関のドアを開けた。


「どうも〜茲沢ここさわさん・・・馬草把 礼奈衣うまくさわ れないです〜」


「まあ、馬草把うまくさわさん・・・いらっしゃい」

「え?あなたが、なんでここに?」


「瑠奈さんが三途の河に、なかなか帰って来ないのでお迎えにあがりました」


「お迎え?」


「そうですよ・・・私、言いましたよね、少しの時間だけ現世に戻して

あげますって・・・」

「そうじゃなくても規則破っちゃってるわけですから・・・」

「帰ってもらわないと帳簿にお名前記載できないんですよ」


「え?〜私、あの世に帰らなくちゃいけないんですか?」


「もうお亡くなりになってますからね」


「嫌だって言ったら?」


「そう言われると私が困るんです」


「もし、私があの世に帰っちゃったら、叶多が悲しみます」

「ショックのあまり死んじゃうかも・・・」

「そんなことになったら、馬草把うまくさわさんの責任です」


「え?なんでそういうことになるんでしょう?」


馬草把うまくさわさんが私と叶多を引き離そうとするからですよ」


「引き離そうって・・・いや〜困ったな・・・」

「私もこのまま手ぶらで、向こうには帰れませんし・・・」

「手ぶらで帰って、もし私のしでかしたことが閻魔様にでもバレたら

絶対地獄行きですよ、だからおとなしく私とあの世に帰ってもらえません?」


「帰りません!!」

「私だって困るし・・・って言うか誰になんて言われたって絶対帰りません

からね・・・三途の河になんか・・・ずえ〜ったい!!」


え〜ん、叶多〜助けてよ〜、瑠奈今とってもピンチだよ〜。


とぅ〜び〜こんて乳。


※ブチャラティ女子とは・・・

相手の顔の汗の味で嘘をついているかどうかを判断できる女子のこと。

嘘をついている人の顔を舐めれば、「これは嘘をついている味だぜ」

ってバレちゃうんだそうだ。

恐るべしブチャラティ女子。

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