第3話:帰ってきちゃった。

俺はずっと好きだった茲沢 瑠奈ここさわ るなから付き合ってって言われてウハウハで付き合う

ことになった。


で、最初のデートから、いきなりだと引かれると困ると思ってスケベ心を封印して

そこはじっと我慢した。

で、二回目のデートでハグとチュー。

で、三回目のデートで俺と姉ちゃんのマンションにご招待して姉ちゃんに紹介。

で、四回目のデートで、姉ちゃんがいないスキにマンションにご招待して・・・

欲望という名の電車に乗って勢いのままに瑠奈と愛の浪漫飛行をやっちゃったわけで・・・。


つまり、セックスとかエッチとか言われることをやっちゃったんだ。

これで俺と瑠奈は名実ともに恋人同士。


なもんで俺は、めちゃ幸せだった・・・こんな可愛い彼女ができてエッチまで

できちゃって世界一幸せ者だって浮かれていた。

俺たちカップルはこのまま何事もなく順風満帆に愛を育んで行く予定だった。

俺と瑠奈の恋のトリセツではそうなってたはずだった・・・。


でも、この世に神も仏もUFOもいないと俺は思った。

大切で目の中に入れても痛くない俺の彼女だったのに・・・。


最初、瑠奈るなが亡くなったって聞いた時、俺は理解に苦しんで脳みそが

その事実を否定した。

まじで信じられなかったからだ・・・茫然自失。

だって昨日まで学校で会って話して笑ってハグしてチューしてたじゃん。


しばらくは信じられないまま、また「おはよう」って彼女がひょっこり現れるんじゃ

ないかって思ってた。

半信半疑のまま俺は瑠奈のお葬式には行ったが火葬場には辛くて行けなかった。


それからの俺は抜け殻状態。

なにもする気が起きない、飯も喉を通らない、学校も行きたくない、トイレも

行きたくない、屁もでない・・・出るのはため息ばかり。


姉ちゃんからは


「あんた落ち込んでばかりいたらウツになって干からびて死んじゃうよ」


って言われる始末。


ウツ?・・・死ぬ?・・・おう上等じゃねえか。

瑠奈のいない人生なんて生きてる価値ないし俺が存在する意味すらない。


で、今朝も姉ちゃんから、しなびたナスって言われて学校へ行けって言われた。


だから俺はしぶしぶ学校へ行ったんだ。

でも授業なんか受けても先公の声が耳に入らない。

だから俺は授業をサボって瑠奈に告られた屋上に上がった。


教室もそうだけど瑠奈の匂いや面影が残ってる場所にいるだけで切なくて気持ち

が落ち込んだ。

だから屋上に行ったって瑠奈の面影が後から付いて来る。

瑠奈を拭い去れず俺はその場で瑠奈のことを思い出して泣いた。


「瑠奈・・・お願いだから、もう一度俺に告ってくれよ」

「頼むよ・・・帰って来てくれ・・・もう一度おまえをこの腕に抱きしめたいよ」


「瑠奈・・・お願い・・・」


「そう・・・じゃ〜また告ってもいいかな?」


「えっ?」


叶多かなた・・・よかったらもう一度、瑠奈と付き合ってくれる?」


「え?え?・・・なに?」

「そ、その聞覚えのある声?・・・瑠奈?・・・瑠奈か?」


俺は声がしたほうを振り返った。


「やほ、叶多かなた


「やほって・・・?」

「やほでないわ・・・なんだよ・・・おまえ・・・生きてたってか?」

「待てよ・・・だけど俺、おまえの葬儀に行ったぞ」


狐につままれた心境ってこういうことなんだろう。


「まじで瑠奈か?・・・バカやろう・・・心配させやがって・・・」


俺は瑠奈にしか見えない瑠奈の周りをぐるっと回って彼女かどうか確かめた。


「叶太・・・なにしてるの?」


「瑠奈かどうか確かめてるんだよ」


「私が、私だって言ってるんだから私だよ・・・信じなさいよ」


「信じるけどさ・・・おまえ、なんでここにいるんだよ」

「死んだんじゃないのか?・・・なんで生きてんだ?」


「うん・・・死んでるよ、私・・・お風呂場で頭打ってチーンって・・・」


「え?死んでるはずなのに、なんでここにいるんだ?」


「帰ってきちゃった」

「私、幽霊だし・・・」


「幽霊?・・・まじで?・・・待て待て待て・・・俺の脳みそが把握するまで待て」

「だってさ俺、霊感ないのに瑠奈が見えてるぞ、はっきり」


「それはきっと叶多が瑠奈のこと愛してくれてるからだよ」


とぅ〜び〜こんて乳。

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