第7話願いと決意の入社式

「やっちまったああああああああ!」


俺は面接終了後、家に帰った後、猛烈な後悔と焦りを感じていた。

俺は面接の最後、質問や言っておきたいことは無いかという問いに対し、緊張のあまり「このコンビニ立て直します」という宣言をしてしまった。面接で上から目線の就活生がどこに居るんだよ!!!


、、、などと後悔しても時すでに遅し。後は結果を待つことしかできない。


「もしここで落ちたら、、、」

今から10年後、アリガKは競合他社のファミッとショップへの統合が決まってしまい、元居た世界と同じ結末をたどってしまうことになってしまう。


「頼む!なんとかなってくれええええ!!!」


俺は藁にも縋る思いで採用通知を待った。


★★★★


「なんとかなったーーーーーーーーー!!!!!!!」

面接試験での「このコンビニ立て直します」宣言から2週間。

俺はパソコンの画面に映る採用通知に安堵した。


「ひとまずは、アリガK再建への第一歩だ」

俺はこの10年後に他社との統合によって消滅してしまうアリガKストアーと、その焼き鳥を守るために10年の時を遡り、そして今、アリガK本部の採用通知を手にするところまで来ることができた。いよいよここからが本番、ようやくスタートラインに立つことができた。


「絶対再建させて見せる!!」

俺は改めて、アリガK再建への決意を固めた。


★★★★


「新入社員の皆さん、まずは入社おめでとうございます」


そして迎えた入社式。会場にはたくさんの新入社員が並び、壇上を見つめている。その眼には、それぞれの決意と思いが宿っているような気がした。


俺は、アリガKを守るために。そして、大好きなアリガKの焼き鳥を守るために。その為に10年前まで戻ってきた。これから10年間のアリガKの失敗も成功も知っている。この10年がアリガKにとって、とても重要な10年だったことも。世間の流行だって知っている。商品開発やイベントの役に立つはずだ。


「でも、だからこそ、頑張らないとな」


失敗した商品や不祥事、そのすべてを解決することはできるだろうか?いや、それは現実的ではない。見逃すことになったり、どうすることもできないことだってあるはずだ。だから俺は、ただ失敗を排除しようとするだけじゃだめだ。失敗から生まれたものもきっと沢山あっただろう。だから俺は、そんなどうすることも出来ないマイナスな出来事も吹き飛ばすような、最高のコンビニを作っていかなければならない。それは険しい道のりだろう。


「それでも、、、」


それでも俺は、アリガKの焼き鳥を守りたいから。神様がくれたこのチャンスを逃したくはない!!

俺はそんな決意を胸に、壇上へ眼を向けていた。

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