第12話「夢の丸太小屋」に夢中

「・・・そうながですか・・・。」


ため息混じりの返答になっていた美那は、一気に寡黙に為っていた。


 草津はログハウス施月刊誌の「夢の丸太小屋」に夢中になって、目を皿の様にして黙読していた。

 時々、感慨深げに「おおー」だとか、「ウンウン」とかの感嘆の語句しか美那の耳には入って来ず会話の応酬は、ジェット機搭乗の冒頭だけで、中盤以降は、着陸まで静かにエコノミー座席を過ごしていた。


 暫らく経って機内食を食べていた頃、ゴゴォ!


シート背後の縦滑りトレーの機内食がジェットの天井にブチ当たりそのまま落ちて来た!


  昨日報道されていた乱気流に嵌まったのか?エアポケットか?


機内アナウンスがCAによって為されていたが、「只今乱気流を通過中です客席に下がった酸素マスクを口に当てて下さい。なお救命胴衣お配り致します。」


機内はパニック状態だった!


キャー助けて!


という叫び声が美那の両耳を劈いた!筈だった・・・。

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