チュートリアル①


 降りてきたはしごを上りアニメでよく見る搭乗シーンみたいに少しだけカッコつけて操縦席に座る。

 ちゃんとシートベルトもして気分は出撃前のエースパイロットだ。


 中には色んなボタンのついた操縦桿やパネルがあってボタンを押しちゃわない程度に操縦桿をにぎにぎしたりペダルに足をかけてぱたぱたしたりしてると搭乗口が閉まってコクピットの中が真っ暗になった。



 ……システムチェック……オールグリーン……パイロットコード確認……完了……メインエンジン始動……機械歩兵『ウォーカー』起動します……



 真っ暗なコクピットの中に機械音声が響き、それに合わせて重厚なエンジン音とお腹の奥にジーンと来る振動を感じる。


 そしてコクピット内に次々と光が生まれ、最後に1番大きなメインモニターが外の世界を映し出した。


「……ん、おぉ…!むっふぅ……!」


 まだ乗っただけで何一つ始まってないけどロボットが起動したというそれだけで否応なしに私のテンションが上がっていく。


 次はどうなるの?何をしたらいいの?とわくわくしながら待っているとメインモニターにイメージ映像と一緒に機体の操作説明が表示された。


 通常移動……方向転換……スラスター操作……武装選択……自爆……自爆?


 量産機っぽいし死なば諸共という事かなぁとその映像を見つつ脳内でロボットの動きをイメージしながらエア操縦。

(ジャンプ、ブースト、接射、引き撃ち、パンチ、スタンプ……だいたいよし!)



『STEP1:目標地点まで移動してください』



 そうして操作説明を読み終わると早速チュートリアルが始まってサブモニターのミニマップに分かりやすく目標地点が表示された。


 操作説明を思い出しながら左右の操縦桿を徐々に前へと押し込んでいく。

 するとロボットはゆっくりながらもしっかりとした足取りで歩き出した。


「これならもう少し行けるかな?」


 そう思って更に操縦桿を前に押し込み歩行速度を上げていくと最初のズシンズシンって感じからガシャンガシャンって感じに変わって機体の振動が大きくなってきた。


「ん……、っと…、おわっ……とぉ!」


 モニターに表示されてる速度は現在時速57km、目標地点までは約300m。

 速度そのままで……200…150…100…減速開始!


 まずは前に倒してた操縦桿を引き戻しながら小ジャンプ着地。機体が着地した瞬間に更に操縦桿を引いて勢いで前のめりになりそうな機体のバランスを取る。

 更にスラスター逆噴射で地面の摩擦と合わせて一気に速度を落とす。


「よっし!ほぼイメージ通り!」


 そうして速度を落とした『ウォーカー』は目標地点まで10mという所で停止したのだった。



『STEP2:敵性存在を撃破してください』


 残りの10mを普通に歩いて終わらせると次の目標が表示されて、それと同時に遠くて見にくいけど四足歩行の犬っぽいのが現れた。


「あれが機獣ってやつかな?」


 その犬っぽいのはその場でウロチョロしててこっちには気づいてないみたいだからその隙に武装選択から右腕の大砲を選択。弾はちゅどんと爆発する榴弾とズガンと貫通する徹甲弾が10発ずつで榴弾が1発装填済み。


 そして武装を選択したのと同時に『ウォーカー』が自動で動いて右腕を前に、両脚を最初よりも開いて腰を落とした。

 多分武装を選んだら最初から発射体制になれるようプログラムされてたとかなんだと思う。


 モニターにも弾道予測線が表示されるようになってたからそれをを参考にロックオン無しの手動偏差込みで微調整しながら犬っこの頭に狙いを定める。


(安易にロックオンとかしたらロックオンセンサーとかで気づかれるかもだし犬型は索敵力高いってのが定番だからね。そしてセンサー系が詰まってるであろう頭をぶち抜く!)


「ッふぁいあー!」


 ココだ!と思ったタイミングでトリガーを引くとズドン!という重い音と反動で機体が揺れた。


 そしてその間にも放たれた榴弾は犬型機獣目掛けて飛んでいき、もう少しで直撃という所で突如犬型機獣が反転。その結果弾丸は犬型機獣に当たらず地面に着弾して爆発した。


「やったか!?」


 チャルは露骨にフラグを立ててみた。

 モニターを見た感じ当たってないように見えたからだ。


〈グルルゥァァッ!!〉


 すると案の定爆炎の中から犬型機獣が飛び出してきた。


 それを見てチャルはやっぱりやってなかったかと思いつつも即座に次弾装填、弾は近づかれた時に至近距離で爆発に巻き込まれないよう徹甲弾を選択した。


「…………あれ?」


 でもなんか機獣の動きがおかしい。

 そう思ってよく見てみると後ろ左脚が無くなってた。

 どうやら直撃はしなかったけどダメージは与えれてたみたい。至近弾だったしさもありなんだね!


「ヒョコヒョコ走りはそれはそれで狙いにくいな……」


 脚を1本無くした事で本来の機動性を発揮出来なくなった犬型機獣。しかしそれによって不規則な動きをする犬型機獣にチャルは上手く狙いを付けられないでいた。


「あーもーめんどい!」


 弾薬を徹甲から榴弾に変更。即発射!

 直後爆発に吹き飛ばされる犬型機獣。

 続けて2発3発と榴弾が撃ち込まれ爆炎がモニターを照らす。


 狙って当たらないなら広範囲で巻き込めばいいじゃない!


 チャルは結構大雑把な性格だった。


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