123回死んだ俺、124回目で見ず知らずの幼馴染に恋をする。
戦う犬
第1話 プロローグ
「いらっしゃいあせー」
123回目の挨拶。
「計4点で5——」
「542円ちょうどで」
「……え」
俺の前に立つ店員は驚いた顔をした。
この顔を見るのは114回目だ。
朝母親から渡された緑色のエコバッグに商品を詰めてゆっくりと、ゆっくりと一歩一歩自動ドアに向かう。
「……さよなら。俺」
自動ドアの前に立てばドアが開いた。
その瞬間。
「うおおおぉら!!!!!」
黒い服を着た眼鏡の大柄な男が雄叫びを上げながら店内に飛び込んできた。
そして、その男が右手に持っていた20cmはあるであろう包丁は真っ直ぐに俺の腹へと突き刺さる。
まただ。また明日が来ない。
朦朧とする意識と、じんじんと熱くなる腹部。
下には大きく広がる赤い湖。
視界が薄れていき、痛みが消えてきた。
「ああ……くそぉ……またかよぉ……」
例え123回経験しようと慣れないこの感覚。
後悔と、懺悔と、憎しみと、悲しさ。
膨れ上がった感情が消えるころには
俺——
誰か俺を、救ってくれ——。
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