第59話 軍備
1546年(天文15年)2月下旬 越後 春日山城
「のう、婿殿。そろそろ、奥州攻めを考えても良い頃合いではないか?」
「関東の後始末等も、どうで有ろうな。」
「戦ならば、この信虎にお任せあれ!」
「先陣は、是非にもこの業正にお申し付けを!」
先日、内政畑の重臣達を集めて、新貨幣の発行を決めたばかりの評定の間に、先日とは少し趣きの異なる、厳つい顔をした者達が集まっている。
一部のジジイ共が、威勢の良い事を言っているが、今の所長尾家周辺で戦の気配は無い。
今日此処に、長尾家の武闘派の面々が集まっているのは、長尾領の大幅な拡大に伴い変更となった新軍政と、新た任命する事となる新軍長の報告の為である。
主な変更点は、有事への即応性を上げる為に統治する各国に新たに軍長を配置し、新たに統治する事となった相模、武蔵等に予備役制度を普及させる事だ。
少し、具体的な話をするとしよう
本国となる越後には、此度の軍政改革にて
◯越後国 65万石
正規兵︰2万
予備役︰4万
軍長︰長尾千代 長尾為景 朝倉宗滴
武田晴信 北条氏康
越後の兵力は正規兵2万、予備役4万とし、新たに嫁の千代に先頃の戦にて長尾家に加わった、武田晴信、北条氏康の3人を新たに軍長に加え、既存の軍長である大殿・宗滴と合わせ5人の軍長体制となった。
軍神2人に甲斐の虎、相模の獅子、戦鬼とは途轍もない顔触れが揃ったもので有る。
正直、敵無しじゃね?
そして、各地域に其々軍長と副軍長を任命配置する事となった
◯越中・飛騨 55万石
正規兵︰1万
予備役︰3万
軍長︰柿崎景家 副軍長︰馬場信春
◯信濃国 55万石
正規兵︰1万
予備役︰3万
軍長︰古賀京志郎 副軍長︰太田資正
◯甲斐国 20万石
正規兵︰1万
予備役︰2万
軍長︰工藤昌豊 副軍長︰原虎胤
◯相模・伊豆 27万石
正規兵︰7千
予備役︰1万
軍長︰鈴木重家 副軍長︰武田信繁
◯武蔵国 60万石
正規兵︰2万
予備役︰3万
軍長︰北条綱成 副軍長︰多目元忠
◯上野国 50万石
正規兵︰1万
予備役︰2万
軍長︰武田信虎 副軍長︰長野業正
◯出羽国 15万石
正規兵︰3千
予備役︰7千
軍長︰村上義清 副軍長︰横田高松
越中方面に柿崎景家を置き、要衝である信濃は引き続き京四郎に任せる。甲斐には出羽を任せてあった工藤昌豊を配置、難しい土地では有るが昌豊なら大丈夫だろう。昌豊の代わりに出羽は新たに軍長に任命した村上義清に任せる。信濃を代表する名将だ。心配はしていない。
そして、関東だが相模・伊豆方面を鈴木重家を抜擢した。飛び抜けた所は無いが器用な男である。副軍長に晴信の弟信繁も付けた。臨機応変な対応が出来る布陣だ。
武蔵には北条の猛将、北条綱成を置く。
佐竹、里見に対する備えとしてこれ以上の存在は居ないと思っている。
そして、上野には武田家当主の武田信虎、元祖【甲斐の虎】と言っても良い存在である。副軍長に名将、長野業正も付けて置いた。能力的には、なんの問題も無い、はずである。
他にも、新たに長尾家の統治下に入った地域の現状を記して置く。
〇北海国
海兵︰2千
予備役︰2千
総督︰神保長職 副総督:甘利虎泰
◯高山国
海兵︰3千
総督︰真田幸綱 副総督:北条高広(きたじょう)
◯琉球国
海兵︰3千
予備役︰2千
総督︰北条幻庵 副総督:飯富虎昌
そして、長尾家の貴重な戦力となる水軍に、新たに太平洋側を本拠地とする相模水軍を新設する
◯越後水軍 本拠地︰直江津
海兵︰二万
軍長︰五島平八 副軍長︰鬼頭吉成
◯相模水軍 本拠地︰小田原
海兵︰5千
軍長︰春日将次郎 副軍長︰富永 直勝
相模水軍の軍長には、美雪の兄で元俺の近習でもあった将次郎を抜擢した。将次郎も平八の元で蝦夷侵攻、琉球侵攻を経験し逞しく成長している。この大役も充分にこなせるだろう。
それより、俺が美雪と結婚した事で、将次郎が義兄になるのに今気が付いた。
なんか、微妙であるが…まあ、いいだろう。
そして、2年近く俺の近習を務めてくれた、滝川一益・斎藤 朝信・森 可成・秋山信友の4人は晴れて近習を卒業である。
俺が教えれる事は、既に教えた。
後奴等に必要なのは、現場での経験だと思っている。
滝川一益・斎藤 朝信を平八の下に送り、秋山信友を将次郎の下でそれぞれ鍛えさせる予定である。森 可成はこの時代の人間にしては珍しく、海外志向が強い様で赴任先も高山国を希望してきた。
高山国総督・真田幸綱の下で周辺海域の探索、南方への新航路の発見などに励んで貰う事となる。
少し寂しくなるが、次代の長尾家の支柱となる者達と、俺は期待している。
是非、頑張って貰いたいモノだ。
卒業した彼等に変わって、新たに俺の近習に抜擢したのは、以下の面子となる
最初に紹介するのが、身長は140cmの小柄で痩せた少年の様な青年は
名前:山県昌景 男
・統率:50/95
・武力:49/92
・知略:58/85
・政治:21/75
・器用:70/88
・魅力:48/65
適性:軍略 騎馬 危機察知
そう、武田家最強と言われた最強部隊である、赤備え隊を率いていた武田四天王の一角、勇将・山県昌景である。
そのはずなのだが…
落ち着きが無く絶えず周りを警戒する姿から、俺の第一印象は〈怯える小ウサギ〉である。
まあ、こんな乱世だ周りを警戒するのも判るが、少し行き過ぎだ。
能力を見れば、確かに名将なので育てば間違いなく、将来の軍長候補となるだろう。弱冠18歳頑張って欲しいものだ。
2人目は少し線の細い美少年は
名前:高坂昌信 男
・統率:55/87
・武力:49/73
・知略:65/93
・政治:51/89
・器用:71/88
・魅力:65/82
適性:軍略 政務 文才
こちらも武田四天王が一角、武略、用兵は武田家随一と称えられた〈逃げ弾正〉こと高坂昌信である。俺を見詰める視線が、キラキラと輝いている…
何度でも言うが、俺にそっち方面の、趣味は無いからな。
能力的には流石である。軍長としても軍師としても育成可能だ。
幼く見えるが、昌景より2歳年上の20歳、将来に期待の若者である。
そして、昌信とは対照的に、野性的な雰囲気を漂わせている青年が
名前:甘粕景持 男
・統率:59/89
・武力:70/90
・知略:61/75
・政治:12/75
・器用:69/85
・魅力:50/75
適性:狩猟 伐採 急襲
後世にて宇佐美定満・柿崎景家・直江景綱等と共に【上杉四天王】の一人として称えられる、甘粕景持である。
景持は、甲斐・信濃の国境にある白峰三山で狩猟を生業としていた土豪であった。
先頃の甲斐への遠征時に、俺の陣所に仕官を求めて訪ねて来たのだ。
能力的には間違い無く、将来の軍長候補である。
勿論、即採用とさせて貰った。弱冠19歳で、こちらも将来に期待の新人である。
これにて【上杉四天王】もコンプリートである。やったぜ!
最後の紹介となる。昌信に劣らぬ爽やかな笑顔が印象的な美青年が
名前:宇喜多直家 男
・統率:65/87
・武力:51/71
・知略:75/97
・政治:65/95
・器用:72/80
・魅力:65/80
適性:商才 算学 政務 策謀
そうあの〈戦国の暗殺王〉や、毛利元就・尼子経久と並び〈中国三大謀将〉と呼ばれる戦国を代表する梟雄、宇喜多直家である。
宇喜多家は、元々備前の邑久郡(おく)豊原荘を治める豪族であったが、祖父・能家が暗殺され直家は父・興家と共に居城・砥石城を追われ放浪の生活を余儀なくされた。その父も、直家が幼い時に世を去り、備前の豪商・阿部善定(あべぜんてい)の援助により牛飼い等を生業に、細々と暮らしていたそうだ。しかし、その生活は貧しく幼い兄弟姉妹を食わせるのがやっと、という状況だった様だ。
そんな時に、関東での長尾家の大勝を聞き付け、幼い兄弟姉妹と母親を連れて遥々越後まで仕官を求めてやって来た。
初めて直家と面談した時には、警戒したものだが。実際話してみると直家に非情さや残忍さを感じる事は無かった。そこに居たのは、ただ幼い兄弟姉妹の将来を憂う優しい弱冠18歳の青年だ。
勿論、唯の演技とも考えられるが、おそらくなら未だ、直家は人を殺めてはいない。暗黒道に陥る以前なのだろう。
史実の様な弟からも恐れられる様な、血に塗れた苛酷な人生を送らずとも済む様には、してやりたいと思う。
幸いな事に、才には溢れている。
きっと、大丈夫だ。
まあ、そんな諸々の報告も有って本日は長尾家を代表する武闘派の面々が、この評定の間に集まっているのだ。
大事な報告で有るはずなのに、戦の話題が出なかった事で一部(特にジジィ共)は不満顔で有る。
また安易に領地を増やして苦労するのは、景綱達内政組と俺である。
あの地獄は…暫くは、勘弁して欲しい。
仕方が無い、少し餌を与えておいてやろうか
「現在、当家周辺地域は比較的安定しておる。よって、本年は周辺地域での軍事活動は予定しておらん。しかし、畿内は未だ混乱が続いている。帝や大樹からも現在当家への上洛の要請を承っておる所だ。よって、我等・長尾家はこの夏、京への上洛軍を編成、京への上洛を目指す事とする。その人員、編成は追って発表する。以上である。励め!」
評定の間の雰囲気が、ガラリと変わった。
あからさまに俺にアピールする者、爛々と闘志を燃やす者、
我こそはと隣の席の者と睨み合う者。
あれ?少し猛獣共に餌を与え過ぎた…気がする
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おまけ
「旦那様…此度の近習の選定、どの様に決められたのです?」千代
「些か偏りがある様に見受けられますが、新様はそういった趣味をお持ちでしたか?」美雪
「私共がおると云うのにまさか、〈衆道〉の道を歩むつもりは有りませぬよね。」咲
「違う!?誤解だ!」
嫁達から、謂れなき不信の眼差しを向けられるのは、俺だ。
確かに昌景以外は、美形揃いと言って良い面子で有るが
俺にその気は全く無いのだ。
単なる偶然なのだが…
いくら説明しても、嫁達からの不信は取れない
不味い、このままでは後世にまで誤解を呼ぶ事態に発展しかねない。
結果、嫁達の俺への監視が厳しくなった
具体的には、四六時中嫁の誰かが傍に居る。
就寝から政務中まで全てである
どうやら、疑惑が晴れるまではこの体制の様である
もういい…好きにしてくれ。
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