第48話 嫁
1545年(天文14年)7月上旬
関東への出征を決めた俺は、すぐに越後、越中、信濃の兵の動員を命じた。
春日山城下に集まった越後、越中の常備兵と予備役の兵数は、約8万にも及んだ。
古賀京志郎率いる信濃勢2万は、関東に入ってから上野にて合流する予定となっている。
俺は梅雨が明けると同時に、越後・越中勢を率いて国境となる三国峠を越え、関東に入った。街道は整備されていない時代、長尾領はかなり整備が進んでいるが、他国の状況は酷いものだった。河川は至る所で氾濫し、道はぬかるんでまともに行軍などできる状態ではなかった。梅雨時の行軍の困難は、蘆名戦で身をもって知った。
もう懲り懲りだ。
軍勢は何事もなく関東に進軍し、上野南部の群馬郡で、碓氷峠を越え進軍してきた古賀京志郎率いる信濃勢と無事合流を果たした。その旗下には村上義清、小笠原長時、木曾義康、諏訪頼重など【信濃四大将】も揃い踏みである。
「若! 久しぶりですな。」
京志郎には主として要衝である信濃の防衛を任せていた。京志郎と会うのも久しぶりだ。久しぶりに会った京志郎は、精悍さが増し、武将としての風格のようなものが漂うようになっていた。
名前:古賀京志郎 男
・統率:84/85
・武力:95/97
・知略:77/78
・政治:70/71
・器用:58/61
・魅力:71/72
適性:武人 指揮 土木 建築
能力もほぼMaxにまで鍛えられている上に、新たに土木や建築の適性まで発現している。信濃で河川改修等の公共事業に励んでくれた成果だろう。
『あの、暴れん坊の京志郎がなぁ。』
と長年の付き合いの俺としては感慨深く、嬉しい限りだ。
信濃四大将の面々からも挨拶を受けた。
「殿、御無沙汰致しております。此度の戦是非にもこの義清に一番槍をお任せくださいませ!」
熊の様な巨漢の少し暑苦しい男が、信濃にて2度もあの信玄を敗退させた男として知られる村上義清だ。
名前:村上義清 男
・統率:80/83
・武力:85/89
・知略:70/71
・政治:61/70
・器用:65/72
・魅力:65/68
適性:槍 騎馬 不屈
やはり、能力もその名声に違わぬものである。主に前線指揮官として活躍してくれるだろう。
「いや、一番槍の栄誉は、源氏一門が名門、我が小笠原家に是非お任せあれ。」
名門の当主らしく、お洒落なイケオジの様な感じの男が小笠原 長時、史実では信玄に一蹴されたイメージだが
名前:小笠原 長時 男
・統率:55/72
・武力:72/81
・知略:50/55
・政治:48/61
・器用:70/78
・魅力:68/70
適性:弓 騎馬
知略や政治は兎も角として、戦闘指揮官としてはそこそこ使える。暫くは京志郎の与力として義清と共に励んでもらう予定だ
「ご無沙汰しております。それにしても、とんでもない大軍で御座いますな。」
温厚そうな中年の男が木曾義康、木曾義仲を祖とする、こちらも信濃の名門である。
史実では早くに武田家と婚姻関係を結び武田家の一門衆に加わったが。長篠の戦で勝頼が敗れると、いち早く織田家に降った。まぁ、小身の家だ。致し方ない所も有るのだろうがな。そんな木曾家だが街道を整備し旅人を増やしたり、豊富な木材資源を商品化したりと、意外に内治の家でもある。
名前:木曾義康 男
・統率:53/65
・武力:53/55
・知略:72/75
・政治:70/78
・器用:68/70
・魅力:60/65
適性:政務 土木
義康の能力は内政向きだ。木曾家と諏訪家は現在、村上家や小笠原家とは異なり直臣では無く、長尾家とは臣従関係となっている。信濃が乱れると面倒なので頑張って治めてくれ。なんかあったら、土地を取り上げるからな。
「中将殿、久方振りに御座います。此度は娘がお世話に成りまして。至らぬ娘では御座いますが、どうか末永くお頼み申し上げます。」
最後に満面の笑みで御機嫌に俺に挨拶するのが、諏訪頼重。
そう、諏訪ちゃんのパパだ。
なんだ?結婚式の新婦の父親の挨拶みたいだな?
史実では今頃はとっくに武田家に滅ぼされて、頼重自身も自害して果てているはずだが、今生では至って元気である。諏訪ちゃんパパと言っても、歳は未だ29歳と見た目も若々しい。
名前:諏訪頼重 男
・統率:70/78
・武力:68/75
・知略:78/85
・政治:78/87
・器用:70/75
・魅力:79/82
適性:政務 神官 統率
流石、諏訪ちゃんのパパだけあって、能力もなかなか優秀である。
史実ではあっさりと信玄に滅ぼされたが、あれは婚姻関係にあった武田家の不意打ちに近い。頼重の奥さんは信玄の異母妹・次妹にあたる。信玄は妹が嫁いだ諏訪家を攻め滅ぼし、頼重や家族の命を保証すると開城させ、その約束をあっさりと反故にした。
酷い話だ… そんなことをしているから、武田家の栄華は長く続かなかったのだろう。
「それでは、中将殿、失礼いたします。至らぬ身ではありますが、義父となったのじゃ。この戦でも活躍して見せようぞ。親族となるのじゃ、何でも、遠慮せず申し付けてくだされ!」
そう言って頼重は、来た時と同様に御機嫌で陣を後にした。
「あぁ、頼りにしている…ん?」
義父? 親族? 何のことだ?
俺は頼重と親族になった覚えは一切無いのだが…。
慌てて、その理由を知っているであろう人物を探すと、満面の笑みを浮かべる諏訪ちゃんと目が合った。
「父上が何かおかしなことをおっしゃっておられたが、どういうことかな?」
「はて? 義父とか親族と言っていたことですか?」
何故か、急速に嫌な予感がしてきた…。
「そうだが…」
「それは異なことを、中将様は私を『御傍』に置いて頂けると、申したではありませんか。それを、父に伝えたところ、大喜びしておりましたわ。」
「いや、それは近習として…」
「旦那様、名家の子女を例え近習といえど『御傍』に置くということは、それは最早婚約と変わり無きことでございますよ。」
呆れた顔で千代に諭された。千代の隣では、美雪も満面の笑みを浮かべて大きく頷いている。
「……マジで?」
「はい。マジでございます。」
なんだよぅ…その謎ルール。
俺はそんな気は無かったんだ! なんて、今更言える雰囲気でも無い
頼重のあの態度を見るに、
『この話は勘違いです。無かったことにしてください』
なんて言おうものなら、諏訪家の離反を招きかねない。
…まぁ、仕方が無いか。別に諏訪ちゃんは良い娘だし、美人だし、優秀だ。別に不満があるわけでは無い。
この流れだと、どうやら美雪もその『御傍』の範疇に入るようだ。
美雪とももう長い付き合いだ。あれでいて中々気が利き、優しいところもある。
この流れは、あの諏訪ちゃんと出会った仕官面談後の3人の話し合いで決まったのだろうな。
深く追求しなかった俺のミスだ。
諏訪ちゃんにしてやられた形だが、男女の仲でそれを言うのは野暮だろう。
別に嫁にするのに二人とも全く問題は無いのだ。
問題があるとすれば、俺の前世での倫理観くらいのものだ。
いい加減、俺もこの時代に慣れないとな…。
俺が3人を幸せにさえしてやれれば、この時代なら何の問題も無いだろう。
うん、頑張ろう。
こうして、唐突に俺に嫁が二人増えた。
梅雨明けの眩しい日差しが降り注ぐ、上野の陣内の出来事だった。
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すみません。また寄り道しちゃいました。
中々戦場迄辿り着けませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです。
因みに異性の近習=婚約なんて謎ルールは多分存在していないかと、先ずこの時代に女性が大名の近習に成る事自体が事例が少なそうなので、なんとも言えませんが。
ここまでお読み頂きありがとうございます!
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