第57話 俺ニートと不思議な謎のアリス
(…………)
俺はもうどうしたらいいかわからない。
アリスを失った今、今夜のバトルでさえ何をしたらいいかわからない。
アリスは言ってた。「プレイヤーとパートナーが両方揃わないとバトルが始まらない」と。
リバーサル社はそのことをわかっている。
だからこの後多分、別の担当者が俺のところに来るのだろう。
……だが、それでは俺の心は晴れない。
アリスの代わりなんて……いるわけがないんだから!
(……コンビニ、行くか)
ひとまず俺は現実に目を向ける。
食事がないとなると、俺が自分で買いに行くしかない。
あいにく俺は、料理なんてできないからだ。
こういうとき『女性』のニートだったら、たやすく自炊するのだろう。
そんなことを考えながら俺は歩いた。
アリスが運転する車もない。
一緒に外出した回数は少なかったけど、
それでも思い出として残っていた。
一度でいいから『俺の本当に行ってみたかった場所』に2人で行きたかったな。
家から最寄りのコンビニまでは約5分。
だがその5分が今日だけは……異様に長く感じた。
脳内では悲惨なことになっているが、足だけは目的の場所へ向かって歩いている。
そして気づけばコンビニの前まで来ていた。
「いらっしゃいませー」
俺は何を食べようか迷った。
パンコーナーが目に入ったが、今日はそんな気分ではなかった。
陳列されたパンを見ると、アリスを思い出して悲しくなってしまうからだ。
なので俺は、弁当コーナーにある山盛りナポリタンにすることにした。
「780円になりまーす」
ニートだけどバトルで稼いだお金を持っている。
それに新パートナーになっても、お金を稼ぐことは可能。
虚しさは埋まらないが、金だけは問題ない。
「ありがとうございました~」
山盛りナポリタンを買った後、俺は来た道を戻る。
(…………)
新パートナーは一体誰になるのだろう?
スピアルは言っていた。「性別が違う人が担当者になる」と。
つまりペリーはもちろん、スピアルとも違う全く新しい人が来るということになる。
最悪の場合しわっしわのおばばが担当者になることも、なくはないのだ。
あるいはギャルとか不良?同じくないとは言い切れない。
せめてアリスと同じように……明るくて元気のある人になってほしい……
そういうことを考えながら、気づけば自宅に着いていた。
俺は玄関のドアを開けた。
「……あ!淳一さん!」
(……!その声は!)
「おかえりなさいませ!もうどこへ行ってたんですか!」
にわかに信じられない……
なんと家の中には……『アリス』がいたのだ。前と同じ服装の……アリスが!
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