誇りとは戦なき世の天の川

草夕感じ

天の川

ひかりあり受胎告知に初蝶来


明王の黒き玉眼薄暑光


柴犬の頬のめくれて扇風機


香水をつけて隠せぬ我のつよさ


告白は友の終りや水中花


一匹が蝿取紙にもがきをり


一遍は踊り念仏バナナ食ふ


阿波踊り手首と膝のやはらかき


誇りとは戦なき世の天の川


平安の鬼門は比叡いわし雲


稲妻の樹状突起のごとく落つ


田のなかにすべて知りたる案山子かな


満月や高層ビルの航空灯


鯊釣りや河口の色は海の色


石蹴れば大樹はなるる椋鳥の群れ


黄金の風吹きぬける稲田かな


遅刻してあやまる君の息白し


天に口開く鮟鱇の吊し切り


煤払い僧のつけたる白き布


紙の面かぶりて母の鬼やらひ






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