ヤクザの娘の本心を俺だけは知っている

青井風太

ヤクザのお嬢様降臨

俺の通う高校には有名人がいる。

容姿端麗で成績優秀、ドラマでしか聞かなそうな才を持ち合わせた女の子


「はる!聞いてるの?」

「聞いてるよ、マヨネーズはなんにでも合うって話だろ?」

「もうぜんっぜん違う!!今日はバイトだから一緒に帰れないって言ってるの!」

オレンジのショートヘアをなびかせた彼女は怒り口調でそう言った。


コイツほんと朝からテンション高いなぁ・・・

幼馴染の橙山香織とうやまかおりと他愛のない会話をし、いつものように登校していた。

もちろん有名人の女の子はコイツではない。

顔は可愛い部類に入るのかは知らないが、この男勝りな性格と、とても優秀とは言えない頭・・・俺も人の事言える程成績は良くないけど。

おっといけない・・・これ以上はうっかり口に出してしまいそうだ。

そうなれば間違いなく蹴りやら、拳やらが飛んでくる。


「でね、納豆をカレーにかけると美味しいんだって~」

「ん?あ、そうなんだ・・・」

「あー!また聞いてなかったなぁ!」

何がどうなればこんな会話になるんだか・・・

そうこう話していると学校が見えてきた。


「うわっ、今日もいる・・・あれ青崎さんの家の人達だよね、相変わらず凄いよね」

「確かになぁ、”住む世界が違う”ってこういう時に使うんだろうな・・・」

正門に見えるスーツを着た強面こわもての男達は等間隔に二列に並び姿勢よくたっていた。

パッと見た感じ20人くらいはいそうだな・・・今日も凄い登校が見れそうだ。


「あっ青崎さん来たよ」

香織が指さす方向からはリムジンが学校目掛け走ってきていた。

スッと正門前で止まったリムジンから降りてきた運転手は後部座席の扉を開け、頭を下げる。

その車の中から出てきたのは青色の髪が特徴的な同じクラスの女の子、青崎楓あおさきかえでだった。


「相変わらず綺麗な人だよね・・・」

「全くだ、うちの幼馴染と交代してほしいくらいだわ」

「うっさい!!」

「痛っ!」

うっかり滑らした言葉に反射するように強烈なローキックが俺を目掛け襲ってきた。


そう彼女こそうちの有名人。

容姿端麗で成績優秀、そして・・・・・・関東最大規模のヤクザ組織【青龍会せいりゅうかい】会長の愛娘


「「「「「「お疲れ様です、お嬢!!!!!!!!!」」」」」」


青崎楓である・・・・

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