第11話 新たなプロジェクト
春の暖かさが日ごとに増し、門司港の町は活気に満ちていた。星空カフェの庭にも花々が色とりどりに咲き誇り、訪れる客たちを迎え入れていた。
ある日の午後、大樹がカフェにやってきた。彼は夏希の幼馴染であり、図書館で働いている。いつものようにカウンターに座り、コーヒーを頼むと、夏希に微笑みかけた。
「夏希、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」大樹が真剣な表情で言った。
「もちろん、どうしたの?」夏希が興味深そうに尋ねた。
「実は、新しいプロジェクトを考えていてさ。カフェの庭を使って、地域の子どもたちと一緒に星を観察するイベントを開催しようと思ってるんだ。」
夏希の瞳が輝いた。「それは素敵なアイデアね!どうやって進めるつもり?」
「図書館で天文学に詳しい友人を見つけたんだ。彼の名前は陽介(ようすけ)で、彼もこのプロジェクトに興味を持ってくれてる。子どもたちに星空の魅力を伝えたいって言ってたよ。」
その言葉に、夏希も興奮を隠せなかった。「それなら、凛や葵も手伝ってくれると思うわ。みんなで一緒に準備しましょう。」
その日から、星空カフェは新しいプロジェクトの準備に取りかかった。庭の整備や望遠鏡の点検、子どもたちへの案内チラシの作成など、やることは山積みだった。しかし、みんなの協力で少しずつ進んでいった。
凛もまた、このプロジェクトに参加することで、自分自身の成長を感じていた。「子どもたちに星の話をするの、楽しみだな。」彼女は期待に胸を膨らませながら言った。
一方、葵もこのプロジェクトに積極的に関わっていた。「私も何か手伝えることがあれば、ぜひ参加させてください。」葵のその言葉に、夏希は感謝の気持ちでいっぱいだった。
ある夕方、陽介がカフェにやってきた。彼は大樹の友人で、天文学に詳しい青年だった。「こんばんは、みんな。今日はプロジェクトの計画を話し合いに来ました。」
夏希は笑顔で彼を迎え入れた。「陽介さん、ようこそ。みんなで力を合わせて素晴らしいイベントにしましょう。」
その夜、星空カフェの庭にはプロジェクトの計画を話し合う彼らの声が響いていた。星空を見上げながら、子どもたちにどんな話をしようかと夢を語り合うその姿は、まるで星空そのもののように輝いていた。
そして、イベントの日が近づくにつれて、カフェには子どもたちからの問い合わせが増えていった。「星空カフェで星を見られるって本当?」と興味津々の声が飛び交っていた。
夏希はその声を聞きながら、心の中で誓った。「このイベントを通じて、子どもたちに星の美しさと夢を伝えることができたらいいな。」
星空カフェの庭に咲く花々と、夜空に輝く星々が、その夢を見守るかのように輝いていた。彼らの新たなプロジェクトは、希望に満ちた未来への一歩として、静かに進んでいくのだった。
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