第二十一話 Perspective 6/7

「あ……あ」

──血しぶき。


『W』の銃は『P』の胸に向いている。弾丸は、すでに発射された。


まるで翼のように、『P』の背中から大量の血液が一気に飛び出た。それは床や壁にまで飛び散り、『P』の足元に大きな血だまりを形成した。


「う、あ……」

うまく、声が出ない。

一瞬の出来事だった。

脳が理解するより先に、もう「それ」は終わっていた。


「はぁ、まったく──」

『W』が呟き、いまだに脚を掴んでいる『P』の手を蹴り飛ばそうとした。

「離せ」

「あァ……っ!」


その瞬間、僕は思わず顔を上げる。そのうめくような声は、『P』の口から発せられたものだった。


『W』の脚を掴む『P』の手に、より一層力が込められた。

信じられない事だが、『P』にはまだ息があったのだ。


「離す、もんかよっ……ォ!!」

「おい、なにを──」


『P』が右足を軸に立ち上がる。そしてもう片方の手で『W』のスーツを掴んだ。

そのはずみで、『P』の胸から大量の血が流れ出る。脚は支えを失ったように震え、顔は涙と血でグチャグチャに濡れている。

「一緒に、いこうぜェ……!?」

「馬鹿、やめ──」


「──『フェニっ、ク、ス』……!」

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