夏の日の思いで

天野 みろく

第1話 ロータリーメンバー

この話は私が16歳の頃の話である。

高校に進学した私は学校までバスで通っていたが、同じ地域から通う仲間が何人かいた。

3人集まると皆んなで割り勘してタクシーで学校に行った。

バス代とあまり変わらないからである。

本土と比べると沖縄のタクシーは安い。


帰りは、原付で通っている友達がよく2ケツで送ってくれた。

勿論、原付の二人乗りは違反なので真似をしないように。


因みに2ケツと言う言葉だか、『ケツ』が2つ並ぶからだと私は思っていたのだが本当は『荷ケツ』つまり、自転車の荷台に乗せることから出来た言葉らしい…


地元に着くと近所に巨大なマンモス団地があり、そこのバスローターで屯(たむろ)するのがルーティンになっていた。


約300棟近くある団地には各所にバス停があり、一番奥まった場所にロータリーがあるのだ。

ロータリーには小さなスーパーが一件とその隣にプレハブの沖縄そば屋さんがある。


沖縄そばやさんは、もっぱら学生やバスの運転手、タクシーの運転手くらいしか利用しないので一杯200円と激安価格だ。


お腹が空くと200円そばを食べ、スーパーでアイスを買いのんびり食べていると1人2人と友達が集まってくる。


みな高校はバラバラだが、中学が一緒の気の合うメンバー達だ。

そんな仲間達が時折り自分とこの高校の友達を連れてきた。

気の合う奴だけロータリーに集まるようになった。

男女合わせて多い時で8〜9人くらいだ。


私達は自然と『ロータリークラブ』と言っていた。


特に何をする訳でもなく、ただただ各学校での面白話しなどをして遊んでいた。


夏休みになると皆んなでビーチパーリーで一泊する事もあった。本当に皆仲が良いメンバーだった。


そんなメンバーの半分は隣町から原付で遊びに来ていた。


そんなある夏の週末…


暇を持て余していた私達は誰からともなく心霊スポット『VF』に行こうと言うことになったのだが、その場所まで原付で約40分程かかる所にある。


メンバーは8人の内、4人しかバイクを持っていない。

いけない事だか、『荷ケツ』で行く事になった。


パトカーに見つからない様、裏道を通って行く事に。

私は免許が無かったので、女の子の運転するバイクに乗る事になった。


途中、山道にはいると一気にスピードアップした!風がとても心地よい。


当時の法律で原付はヘルメットをかぶらなくてよかった。運転する女子の髪の毛が時折り顔に絡みつく。

シャンプーの良い香りにドキドキ💓していた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る