交喙

君の残骸を砂浜に撒いたんだけどいつまでも波がこない


砂浜の恋文を持っていったくせに波は「覚えてない」ってさ


太陽も月も知らない砂漠の場所を知っているのは星屑だけ


海岸線で眠っていたのに目が覚めてもまだ砂の上にいる


「ここまでは海」と強欲な波「ここから砂漠」と気まぐれな風


タクラマカン砂漠のまんなかで金木犀の香りを夢に見る


三年前に撃ち落とした月が砂塵になって風に舞ってる


改札を通り抜ける耳にカウントダウン荒野の真ん中にいた


「どうせなら海岸の砂に生まれたかった」風か雨か誰かの声


砂漠も海もおんなじだって不時着したフラミンゴが嘆いてた

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交喙 @isuka_ndaru

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