彼女の時間
ネプ ヒステリカ
彼女の時間
顔を上げて彼女を見た。
ぼんやりとしていて、良くわからなかった。
どんな表情をしているのだろう。
良く見ようと、目をこらした。
よくわからなかった。
あいまいなままだ。
さらに目をこらした。
顔の輪郭が、曖昧になった。
どんな眼をしているのだろう。
頬の色と、膨らみはどんなだろうか。
唇は?。
濃い霧の中のにいるようで、すべてが曖昧だった。
「どうしたの?」
彼女がいった。
彼女の声が、わからなかった。
高いのか、低い声なのか。
「君が、よくわからないんだ」
と、言ったら、
「どんなことが、わからないの?」
と、応えてくれた。
声も抑揚も不確かで、意味だけがあった。
彼女を感じたくて、手を伸ばした。
そこにあるのに、ぼやけている。
手に触れた。
手の温かみが、わからなかった。
柔らかさ、彼女の手の実在が感じられなかった。
涙が出た。
彼女に会いたい。
彼女の時間 ネプ ヒステリカ @hysterica
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