第7話 双子の女神様の面影(2)

 でも今日の僕……。今の僕はいつもとは一味も二味も違うのだった。




 先程から張繡さん達の暴力に屈して──意識が薄れそうになる僕の脳内にある声……。


 そう大変に優しく、労りある声……。


 こんなデブでどうしようも無い僕の事を優しい声音で鼓舞してくれる声が聞こえてくる。


「仲穎~。あなたは~本当は強い人なのだから~。これぐらいのことでくじけてはいけません」

「仲穎、弁姉様の言う通りです。あなたは本当は強い人なのだから。これぐらいの事で挫けない! もしもこれぐらいの事で泣くようならば、妾が許しませんよ! 仲穎、分かったら早く立ち上がりなさい」


 今にも意識が飛び、堕ちそうな僕の耳へと……。



 だから僕はいつものようにこの場面で泣き、喚き、張繡さん達に許しを乞う事ができない。


 だって今日の僕は、自身の枕元に数日前から現れるようになった双子のエルフの美少女様……女神様達の声が……。泣き虫、弱虫な僕の耳へと彼女達の𠮟咤激励してくれる声が聞こえてくるような気がするから。

 今日の僕は張繡さん達ヤンキー少女の酷い仕打ち──虐め行為に対して自身の両目から涙の雫をポロポロと垂らさずに耐え忍ぶ事が根性でできている。


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