無意識に意識高い系な彼女の事情
桜雪
第一部 小学校編
第0話 七虹望郷
『ミス・ミスト』
同じ団地に住む彼女のあだ名である。
中学を卒業して地元の進学校に進んだ同級生。
ギリギリで入学した僕と違い、彼女は入試トップであったようで新入生代表として堂々と壇上で抱負を述べた。
思えば彼女が隣にいることで、自分がいかに凡庸なのかと早い段階で身の程を知る人生であった。
「ワタシは生徒会長であるべきだと思う」
高校1年の夏、彼女は生徒会長に立候補すると言い出した。
1年生が立候補とか?別の中学から進学したクラスメートは驚いていたが僕は別に驚かなかった。
僕と同じ中学校から進学した連中も驚きはしないだろう。
「ずっとそうなのだから…そうあるべき」なのだ。
例えば生態系の頂点とは目指してなるものなのか?
きっとそうではない、なるべきものが、なるべくして頂点に存在するのだ。
そう『ミス・ミスト』がそうであるように。
強いて違いを上げるならば、彼女は、そうあるべき存在ということを自覚し疑わない。
ある意味では目指していると言うべきかもしれない。
ただ自然に場の頂点にいるべき存在と自分を認識しているような気がする。
別に他人を見下すわけでもないし何かを成し遂げたいわけでもない。
むしろ、そんな目的などない。
ただ、居たい場所が頂点だということだけだ。
事実、彼女の行動の目的、あるいは結果が誰かの為になったということなどないのだから…。
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