風家八武人伝

@kurebayashi-mikumo

プレフェイス~序章①~

その地の名は"樊州"


二つの海に挟まれた大陸。端から端まで徒歩で移動するなら、二回越冬しなければならない。一つは季節冬、二つは"常雪の大地"。


北岸から中心部にかけて天谷山脈が連なる。その頂に到達した者はいない。天谷山脈から放射状に流れる四つの大河。時計回りに、朱斑江、木舟河、白竜江、絹墨江が大地を仕切っている。


東の海は荒れた海で、航海はおろか漁ですらままならない。


西の海はまさに茫洋。海商の交易路である。遥か向こう先に異人の国がある。


南北の海は航海に難あるが、漁に出るとしたら陸地が見える限り問題は無い。


そこに住む人間は四つに分けられる。

草原の民、海の民、乾原の民、農牧の民。


人間達は絶えず争い、支配し、虐殺を繰り返していた。特に、草原と農牧、海と乾元とでは大層酷く憎しみ合っている。


歴史上、この地に覇を唱えた国は五指を数える。今は無数の国々が国益を巡って終わりなき戦乱の最中である。最後の統一国"大樊帝国"が滅亡して五十八年後の時である。

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