必死に
人は簡単には死なない。
簡単に死ぬ人もいるけど、
普通はなかなかそうはならない。
もう死にたいとか、
もう死にそうとか、
言ったりする。
本気で死にたい人や、
本当に死にそうな人が口にしない言葉。
そうだよ、声にして言うことの、
半分も信じちゃいないよ。
死ぬ訳ないじゃん、そんくらいで。
よく言うよ、
もう死にそうなんてさ……
だいたい、死ぬことについて、
さして考えたこともないくせに。
死ぬことを、
まるで寝るのと同じぐらいに考えてんだろ?
眠りについて、もう起きない、
目覚めることのない眠りとか。
それが「死」だとか思ってんじゃないだろうね?
君の言うのも一理あるよ。
でも大概目覚めやがるのさ、途中でね。
お節介にも誰かが無理やり起こすのさ。
ともかく、一度死を選んだ人が、
起こされて目覚めるのが一番よくない状態だよ。
そこには自分が望まない状態の自分がいたりする。
だからオレは最初から言うんだ。
簡単に「死」なんて望むなって。
とことん死に近づく運命の人ならまだしも、
しょうむないことで死を選ぶなって。
急いでそこに行かなくても、
ほっときゃじきそこまで行けるよ。
人間は生まれた瞬間から、
死に行くプロセスにあるんだから。
それを待てるぐらいには辛抱強くなれよ。
でもさ、時々、
いっそ死んだ方がいいって思うことはよくある。
だけど、そんな時はまず必死になればいいよ。
必死って、必ず死ぬって書くだろ?
じゃあ、きっと必死に生きれば、必ず死ねると思うよ。
中途半端に生き残ったりせず、
必ず終われるよ。
必死に生きれば……
だから、オレも、そうしてみるよ。
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