D STORY

ranP @D_STORY

序章

煌びやかだ。

そう、口から漏れてしまいそうな″街″。

こんな景色を、見たことがない気がした。

自分が過ごした世界は、汚らわしいと思っていた世界は、こんなに綺麗だったのだと───

気付いてしまったんだ。


【僕も、こ〜んな風に…死んじゃったなぁ。】


【この先に何も希望が持てなくて。僕は、ずっと止まっている気がして…動いたとしても、全く別の方向を進んでしまう。】


【何もかもが嫌になった時に、出会ったんだ。】


【自分で命を吹き込んでいく。物語ストーリーを創っていく。数々の命を抱えて、僕は少しでも希望を見い出せたんだ。───少し、遅かったけどね。】


【貴女はまだ、遅くない。───必ず見つけて。】


【投げ出してしまった先には、が待っているから。】


──D STOPY 序章──


───ピッ。


「…っ」


違う。ここは、天国じゃない。

…どうして


「オメザメデスカ?」


機械音を立てながら喋りかけてくるのは、病院に常設されているナースロボ。

つまり、ここは病院。私は…失敗したのだ。


「ビルノオクジョウデタオレテ、アーラアブナイ!デスガ、ゴアンシンクダサイ!サイシンノイリョウギジュツハ、アナタノイノチヲ───

───メイレイヲカクニン。スミヤカニタイシュツイタシマス。」


ナースロボはそのまま動きだし、病室から消え去ってしまった。

数秒も経たないうちに、扉を軽く数回叩かれる。

「失礼致します…


罪重 已ツミカ ノミ さん。」


─────────


「ただい…ま」


今ある精一杯の力を振り絞りながらドアノブに手をかける。

「オカエリナサイマセ。」

無機質な声質が響き渡る。

自動で点灯が付くと、見事に散らかった家中が明るみになった。

掃除をしなくてはと片隅に思うが、今はそれより優先すべきことで頭がいっぱいだった。

私は乱雑に置かれたシャツを避けながら、ベッドルームに座る。


【貴女はまだ、遅くない。───必ず見つけて。】


夢は、時間が経つと消え去ってしまう。

だが不思議に、そして鮮明に。頭に残っていた。

女性が放った言葉の数々。

それが全て、私の脳内を支配していた。


言葉の意味は理解が出来ないが、言っていることは分かる。───要するに、ということだろう。

誰がなんの意図で、私にそう伝えたのかは分からないけど。

不思議と、もう少し生きてみようと思える。

───でも、何をすればいいのか。

生きていたとしてもどうせ、繰り返すだけだ。

…彼女が言っていた、。それがあれば───


そう感じていると、突如″Charconチャーコン″のブザー音が鳴る。

手に取り、その液晶板を視界に収めた。


──────

【P Creator】

運命の出会いが、アナタを待っています!

──────


私は、吸い込まれるようにバナーをタップした。

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