虫と自転車

R

第1話

 今日は暑くて、それでも寒いよりは100倍マシだと思って自転車を漕いだ。

ぬるい風はそれほど気持ちよくもなく、しかしそれが無ければ今日はもっとぬるかっただろう。

汗はだらだらとだらしなく流れるばかりで、服をぬらしていって、それはどちらかと言えば気持ち悪かった。


 田んぼ道に出ると、蚊柱が無限に湧いてきて、これは完全に、どうしようもなく僕を不快にさせた。

彼ら彼女らは胸ポケット、髪の毛、口、etc.いたるところに入ってきて、服には潰れて出た体液によるシミを、また髪の毛からは忘れたころに出てきてある種のおぞましさを残していった。


 上り坂に差し掛かった。

初対面こそ勾配に狼狽し思わず自転車を降りたものの、今となってはルーティーンの一つに過ぎない。

ここで「ルーチン」と言っては僕のポリシーが許さないのだ。

息を切らしながらもなんとか上り切った。


 そして赤信号の長さに憤慨しながら、縦横どちらの信号も赤になる時間が3秒間だけあってその時間が最も安全なのだ、という好きなアニメ(小説)から教わったトリビアを思い出してみたりするのであった。


 ということで今日も大変だった。

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