第39話 風に吹かれて

夏になると、冬が恋しくなり、冬になると、夏が恋しくなる。

人間、結局、ないものねだりなのである。

それと一緒で、仕事してないときは、仕事がしたくなり、仕事してるときは、仕事したくなくなる。

ということも、うすうす感付いている。


最近では、結婚していると、結婚したくなくなり、結婚してないと、結婚したくなるのではないか。

という予測も立てている。


話をもとにもどすが、仕事の話。

仕事しているころは、あれだけ、仕事がめんどくさかったというのに、仕事してないとなると、これだけ、仕事がしたくなるとは。

でも、どうも、ぼくは、仕事しているほうが、精神衛生上よろしい、ということも本当のことだ。

仕事を辞めて、どんどん、こころが不健康になってきている。


あ~あ。人間って、しちめんどくさいな~。

ただ単に、仕事は、失敗が許されないだけに、普段からの生活をきちっとするように、心がける、というからくりがあるだけなのに、なのに、仕事がないだけで、ひとは、気が緩んで、普段の生活をおろそかにしてしまうんだなあ。


結局、自律というものができるならば、なにも、仕事がなくったって、きちっとできるひとは、きちっとできるのだ。

ただ、ぼくは、自律ができないだけなのだ。


まあ、こんなからくりがあることに気付いたのだが、これが、結婚には、どんなからくりが隠されているのだろうか。

絶対、なにか、からくりがあるはずなのだ。

それを知るまでは、ぼくは、前にすすめない気がする。

知っているのと、知らないのとでは、やはり違う。

そして、そのからくりを知ったとき、なーんだ。結局、そういうことだったのか、となるのだろう。

そのとき、ぼくは、きっと、風に吹かれるんだろうと思う。


だから、前へとすすむしかないことは、わかっている。前へすすむことをやめたとき、ぼくは、ぼくでなくなってしまうのだ。


からくりを知って、風に吹かれるまで、ぼくは、前にすすみ続けるのだろう。


風に吹かれる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る