第27話 朝五時の散歩

姉に、口喧嘩で言い負かされた。説明してんのに、わからんという。 

「もういい!お姉ちゃんに、説明してもわからへん!」

「絶対、わからんなあ」


屋上の波板が折れてて、修理不可能になり、全部、取っ払った、としつこく説明してんのに、姉の理屈で責めてくる。

修理不可能だ!って言って、一生懸命、説明してるのに

「死んでもわからんわあ」

労力だけ使って、向こうは涼しい顔して、わからんわあ、と言われると、すごく、ひっかかった。弟の定めというやつか。

姉との力関係の前では、事実を説明しようと、口喧嘩という時点で言い負かされる。



一人暮らし。

帰って、孤独だった。

孤独なときは、孤独な音楽を聴けばいい、という話を聞いたことがあったので、孤独な音楽を聴いてねむると、いつの間にか、朝だった。



五時だ。

冷凍うどんをレンチンして、玉子を薄焼きして、レンチンできるとうどんを、ざるで冷やし、めんつゆをかけ、薄焼き玉子をのせて、食べた。


なんか、いいことないかなー。

自分でも、頭の切り替えが悪い!!と責めるが、昨日の姉の口っぷりが、しつこく頭にこびりついていた。


散歩に出かけよう。

台風は、どうなんだろう。

連日、台風十号の放映がニュースでやっている。それたらいいのにな!この期に及んで、まだ、そんなことを考えてる。散歩に出て、町内を一周した。

アスファルトに、一輪のかわいらしい花が、咲いていた。チャンス!スマホのカメラを取り出し、まだ、辺りは暗かったが、シャッターした。

静まった町並み。ほんとうに台風は来るんだろうか。

空の状況をスマホで、撮った。



お寺に電気がついている。住職さんは、もう起きているのだろうか。



帰ってきて、ウェザーニュースを見る。台風、台風っと。

ああ、やっぱり、近づいている。

人間の思惑どおりには、自然て決して動いてくれないな。

ミスチルの歌を、口づさんで、

「単調な生活を繰り返すだけ。そんな毎日もいいさ~」

なんて言いながら、月曜日、やってくるだろう面接の問答集を開くと、時計は六時だった。

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